講座ボランティア企画 名盤を聴く【第80回カルロス・クライバー特集】の事業報告

開催日
2021年8月12日(木曜日)
開催場所
三重県文化会館 小ホール
開催時間
13時30分から15時40分まで
講師
梶 吉宏さん(三重県文化会館 館長)
参加人数
75名
参加費
無料

今回の「名盤を聴く」はドイツに生まれながらもナチスに反発してアルゼンチンへ亡命、父も偉大な指揮者であり、キャンセル魔としても知られたカルロス・クライバーの特集です。

40才当時。彼自身が喜歌劇の登場人物のように団員へ指示を出します

「名盤を聴く」の講座立ち上げより約20年にわたり尽力してくださった大橋努さんへの追悼の意を込め、故人が愛したアーリーン・オジェーが歌うモーツァルトの「大ミサ曲」の中から「精霊によりて(エト・インカルナトゥス)」を聴き、この日はスタートしました。

本プログラムではJ.シュトラウスⅡ:喜歌劇「こうもり」序曲について【リハーサルと本番】【40才と56才】という観点で比較ができる内容となっていました。40才当時のリハーサルでは、小節ごとに音の表現を各楽器パートに伝えます。例えば「ここは直接握手するのではなく、産毛を伝って皮膚に触れるように」「コーヒーカップを投げつけるように」のように。団員が時に「もういいよ」とでも言いたげに疲れた表情を見せるのも印象的でした。

56才当時。年齢を重ね、音を楽しむ余裕が感じられます

後半は56才当時の「こうもり」を含む貴重な日本公演での演奏を楽しみました。豊かな表情はそのままですが、年齢を経てより円熟したしなやかさがあり、音と共に遊んでいるような指揮でした。講師の解説によると、晩年は公演キャンセルが多かったクライバーですが、お忍びで度々日本を訪れ、自身のライブ盤を購入し、その写真が外資系有名レコード店に飾られているそうです。公演では「ブラボー」の声と共にスタンデングオベーションする観客、花束を持って舞台に駆け寄る若い女性など熱狂する様子が感じられ、参加の方々からも拍手が起こりました。あいにくの雨でしたが、会場のどこかで大橋さんも楽しんでくださっていたのではないでしょうか。

  • たくさんの情熱をくださった大橋さん

  • 大橋さんが愛したオジェーの歌声

  • 解説する講師

 ―プログラムー

“大橋 努さんを偲んで”
モーツァルト:大ミサ曲 ハ短調 K.427より
   「精霊によりて(エト・インカルナトゥス)」
      (ソプラノ)アーリーン・オジェー
      (指揮)レナード・バーンスタイン
       バイエルン放送交響楽団 (1990年4月 ワルトザッセン)                          

1.《リハーサルと本番》
   J.シュトラウスⅡ:喜歌劇「こうもり」序曲
     南ドイツ放送交響楽団
  
                   (1970年 シュツットガルト)
ーーーーーーーーーーーーーーーー 休 憩 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2.ベートーヴェン: 交響曲第7番 イ長調 Op.92

3.J.シュトラウスⅡ:喜歌劇「こうもり」序曲

4.J.シュトラウスⅡ:ポルカ「雷神と雷光」
     バイエルン国立管弦楽団
                  (1986年5月19日 昭和女子大学人見記念講堂)
                             

参加者の声

  • カルロス・クライバーのチャーミングな笑顔と指揮に魅了されました。今日もすてきな時を過ごすことができました。ありがとうございます。
  • 「こうもり」のリハーサル楽しかったです。指揮者の魂が感じられました!!オーケストラと感情のやりとりを大切にしている様子、「こうもり」が素敵な曲という事に気づきました。
  • 久々に参加させて貰いました。息の長い活動に敬服です。益々この会が充実しますように!7番の第二楽章が大好きになりました♪40歳のころにやわらかい指揮!指揮棒が魔法のようにしなってみえました。‘86のこうもりも格調高く、溢れる愛情を冷静に音楽されているんだなと思いました。前のオーボエもいいですが、さすが、後年のオーボエすてきでした。
  • 長い間「えんの下の働き」をなさって下さった大橋さんも一緒に楽しんでおられるような気持ちで十二分に楽しませていただきました。