講座ボランティア企画 名盤を聴く【第79回 名盤を聴く A.B.ミケランジェリ特集 第二弾】の事業報告

開催日
2021年6月25日(金曜日)
開催場所
三重県文化会館 小ホール
開催時間
13時30分から15時35分まで
講師
梶 吉宏さん(三重県文化会館館長)
参加人数
64名
参加費
無料
ミケランジェリの手、確かに大きくて柔らかそうです

今回の「名盤を聴く」は音楽家以外にも医師、パイロット、レーサーなどの顔を持ち、第二次大戦ではファシズムに対する抵抗運動の闘士としても活躍したA.B.ミケランジェリ特集第二弾でした。(第一弾は2007年4月に開催)

「実際にコンサートに行かれた方?」の質問からこの日の講座はスタート。講師は西ドイツ・ブレーメンでコンサート終了後、真っ暗な楽屋で握手をしてもらったそうで、大きくて柔らかくマシュマロのようだったと話しました。次に、彼の人となりの解説。コンサート嫌い、インタビュー嫌い、録音嫌いで気難しいと言われるミケランジェリについて、「ある時はピアノが2台、調律師が4人いたがダメだった。でも、なぜダメなのかは本人しかわからない」と指揮者チェリビダッケの証言。しかし、その後ドビュッシー『ラモーを讃えて』の繊細な高音を聴くと、そのこだわりも納得できてしまうから不思議です。

ベートーヴェン『皇帝』の圧倒的な演奏に魅了されました

後半、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番『皇帝』を聴く前に講師は次のように話しました。「若い頃、当時の西ドイツで金管楽器のマイスターになるために修行をしていた。その時、下宿のラジオで聴き、感動したのはムソルグスキー『展覧会の絵』とベートーヴェンの『皇帝』。しかし、それからずっとCDなどでも耳にすることはなかった。彼は録音嫌いだから仕方がないと思っていたところ、昨年偶然に音源を見つけ、『僕の聴いていたあれだ!』と大変感動したので、ぜひ皆さんにも伝えたい」

1969年・西ドイツでの感動をこの日、講師は50年以上の時を経て伝えました。「今まででいちばんよかった」と会場を後にする方もいらっしゃり、その感動は確かに届いたようです。

  • 西ドイツ滞在時の思い出を話す講師

  • 開演30分前でも公演をキャンセル

  • 45歳当時の演奏

 【プログラム】

1. J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 BWV.1004
           ~シャコンヌ(ブゾーニ編)        
                    (1955年3月 ワルシャワ)
                           
2.ドビュッシー:ラモーを讃えて(映像第一巻より)
                    (1965年1月5日 パリ)                      
3. ラヴェル:夜のガスパール
          1.オンディーヌ
          2.絞首台
          3.スカルボ
                    (1973年10月29日 東京)                             

                 ―  休 憩 ―

4.ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」
           (指揮)セルジウ・チェリビダッケ スウェーデン放送交響楽団
                     (1969年 ヘルシンキ)
                               

参加者の声

  • 今迄で最高!特に『皇帝』
  • Excellent!60才すぎからクラシックを聴くようになり、この「名盤を聴く」は本当によい参考書。感謝。
  • 梶先生の体験や知識をとおしてお話を伺うことができ、ミケランジェリを更に深く知ることができました。
  • 一台のピアノでこんなに表現ができるとはびっくりです。
  • ミケランジェリの映像を初めて見たが、ピアノをひく手が別の生き物の様でおどろいた。
  • 吸い込まれるようでした。この場に降りてきて弾いてくれているような感じでした。心豊かな時間を過ごすことができありがとう。企画はズーっと続けてくださいね。