三重県埋蔵文化財センター共催「古代人は不老不死を目指したのか -弥生・古墳時代の朱の使いかた-」の事業報告

開催日
2020年11月14日(土曜日)
開催時間
13時30分から15時30分まで
開催場所
三重県生涯学習センター2階 視聴覚室
講師
石井 智大さん(三重県埋蔵文化財センター)
参加人数
65名
参加費
無料

今回のまなびぃすとセミナーは「古代人は不老不死を目指したのか -弥生・古墳時代の朱の使いかた-」と題し、三重県埋蔵文化財センターの石井智大(いしい ともひろ)さんにお話いただきました。
三重県埋蔵文化財センターが公開考古学講座「三重を掘る」として開催する年間講座のうち1回を、特別講座として三重県生涯学習センターと共催し、総合文化センターを会場に開催しています。

講座の様子
遺物に残った痕跡はわたしたちに様々なことを教えてくれます。

講座のタイトルは、「古代人は不老不死を目指したのか -弥生・古墳時代の朱の使いかた-」。
「不老不死」と「朱」がどのように関係するのか、弥生・古墳時代の人々がどのように「朱」を使用していたのかお話しいただきました。

中国では、神仙思想において「不老不死」をもたらす仙薬の主原料として用いられていた「朱」。「辰砂(しんしゃ)」という鉱物を砕いて作られており、三重県多気町の丹生でも産出されていました。

古代日本でも「朱」は不老不死の薬として使われていたのか?
弥生・古墳時代の「朱」の使われ方を考古学的に検討することで、その答えは判明します。
使用痕跡や付着した煤、発掘された数や分布域など、発掘された内面朱付着土器、石杵・石臼には数々の痕跡が残っています。その痕跡から古代人は中国の神仙思想をそのまま受け入れるのではなく、当時の日本の社会にあわせた独自の方法で使用していた可能性を読み取ることができると説明されました。

遺構や遺物に残った痕跡から、弥生・古墳時代の人々にとって「朱」とはどういった存在であったかが解き明かされ、受講者のみなさんは遺物によって語られる古代日本の姿に思いをはせつつ、講師のお話に聞き入っていました。

遺物見学
「朱」が付着した遺物

参加者の声

  • 岩から朱を作っていたという話にビックリ。とても手間のかかることをしていたんだなぁと思いました。日本独特の朱に対する考えがあったのだと知ることができておもしろかったです。
  • とてもわかりやすくよかった。丹生の水銀坑跡に行ったことがあるが、それに関わることが 朱、神仙思想に関わっているとは、はじめて聞き、目からうろこだった。勉強になり、おもしろかった。
  • 朱の文化の考察について興味深い講義でした。