みえアカデミックセミナー2020
鳥羽商船高等専門学校公開セミナー
「 講演1:不思議な確率の世界 」
の事業報告
「みえアカデミックセミナー」は三重県内の大学・短大・高専・放送大学を含めた高等教育機関との連携で生まれた公開セミナーです。
毎年7月から8月(2020年度は7月17日から8月27日まで)にかけて、三重県総合文化センターを会場に、各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすく講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」から既に20年を過ぎ、「みえアカデミックセミナー」としては、17年目を迎えました。
今後も、県内の皆さんにたくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。
令和2年度 第14回目の鳥羽商船高等専門学校公開セミナーは、
一般教育科 准教授 田中 秀幸 さんを講師にお迎えしました。
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- 【講演概要(ホームページ・チラシ紹介文より)】
世の中には様々な不確実性があります。身近には、じゃんけんの結果やギャンブル、保険、資産運用などでしょうか。不確実な現象を数学によって理解しようというのが確率論の世界です。直観に反する結果(しかし正しい)がたくさん知られており、それらをできるだけわかりやすく紹介します。
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- 【講演要旨】
■確率のお話(前半)
1.確率の計算をしてみよう
2.ランダムウォークの不思議な性質
■確率の応用(後半)
1.確率と化学:アインシュタインのお話
2.確率と保険:保険料ってどう決まる?
はじめに、コインやサイコロを例に、「確率・平均」について、どのような計算で求められるのかについて簡単に説明していただきました。
私たちの生活の身近に確率で計算できることはあふれているものの、実は人間の直感と本当の確率の間には大きなずれがあることが意外と多いことを「くじ引きと直感」を例に教えていただきました。例えば、[当たりが5%の確率のくじを100回引いたときに出る当たりくじ]について、現実には2回しか当たらない人や、8回も連続して当たる人が出てくるなど、確率論を想定した場合とでは納得がいかない場合があるとのことです。
続いて、自然科学、投資など様々な確率現象をシンプルに分析する「ランダムウォーク」という確率の計算について紹介いただき、負けが込んでいて、その反動で次は勝てるだろうという考えは「ランダムウォーク」の理論から否定できると言われ、都合の良い思い込みにすぎないと解説いただきました。また、2次元と3次元の「ランダムウォーク」の違いについても少し紹介していただきました。
「ランダムウォーク」のさらに難しい考え方として「ブラウン運動」について触れられ、「化学と確率」の関係についてもお話しいただきました。
そして、身近な「確率」として、保険料がどう決まるのかという「経済学と確率」の話について、人は「損失」を恐れるため、リスクのある選択をする場合には確率的な「平均値」では選ばないことを説明され、キーワードとなる「大数の法則(※1)」によって、「保険料=平均」で価格が設定されていることを解説いただきました。
最後に、「確率」は深く学ぶには大変ではあるものの、興味深い学問であり、「金融」や「ロボット研究」、「人工知能(AI)」など様々な分野で「確率論」が応用されていて、その時代の最先端を学べる研究の一つかもしれないと持論を語られました。
【※1 大数の法則】:独立な試行を繰り返したとき、そのデータの平均が、真の平均に近づくこと。
- 確率について改めて勉強になりました。実生活に大いに影響があること等興味が出てきました、再度確率について勉強してみたいと思いました。有り難うございました。
- 保険料ってどう決まる?という話が興味深かったです。「大数の法則」の説明も良くわかっておもしろかったです。数学苦手な私ですが、ちょっと認識をあらためました。
- 保険料の大数の法則は面白かった。最近、災害保険料が上がっていると聞く。確率が変わってきているという事か。