みえアカデミックセミナー2020
ユマニテク短期大学公開セミナー
「 高等教育における修学支援の現状と課題
-大学進学に関する調査結果から- 」
の事業報告

開催日
2020年8月7日(金曜日)
開催場所
三重県文化会館1階 レセプションルーム
開催時間
13時30分から15時00分まで
講師
ユマニテク短期大学 幼児保育学科 准教授 平松 喜代江 さん
参加人数
26名
令和2年度は新型コロナウィルス感染防止対策として会場収容率50%以内にて開催しました。
参加費
無料

「みえアカデミックセミナー」は三重県内の大学・短大・高専・放送大学を含めた高等教育機関との連携で生まれた公開セミナーです。
毎年7月から8月(2020年度は7月17日から8月27日まで)にかけて、三重県総合文化センターを会場に、各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすく講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」から既に20年を過ぎ、「みえアカデミックセミナー」としては、17年目を迎えました。
今後も、県内の皆さんにたくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。




ユマニテク短期大学 幼児保育学科 准教授 平松 喜代江 さん

令和2年度 第8回目ユマニテク短期大学公開セミナーは、
幼児保育学科 准教授 平松 喜代江 さんを講師にお迎えしました。

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  • 【講演概要(ホームページ・チラシ紹介文より)】

    令和2年4月から始まった高等教育の修学支援新制度は、授業料等の減免だけでなく、学業に専念できるよう学生生活を送るのに必要な生活費を賄える給付型奨学金を支給しているのが特徴です。新制度創設に至るまで、経済的な困難を抱えた高校生や大学進学者の生活実態について、調査結果をもとに皆さんと一緒にみていきます。

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講演の様子1


  • 【講演要旨】
    1.高等教育機関の現状
     (1)現在の高等教育機関数
     (2)18歳人口と大学進学率
     (3)高校・大学進学率の推移
    2.社会的養護の現状
     (1)施設数、児童数
     (2)児童の措置理由
     (3)虐待を受けた児童の増加
     (4)児童養護施設の児童の年齢
     (5)在籍児童の在籍期間
     (6)進学・就職の状況
    3.児童養護施設在籍児童の大学進学を可能とする支援
     ー大学進学に関する調査結果からー
    4.高等教育の就学支援制度について 
     (1)高等教育の就学支援新制度とは
     (2)どんな人が対象になるのか
     (3)どのくらい支援してもらえるのか
     (4)支援の金額例

講演の様子2

はじめに、高等教育機関の現状について、各調査の数値などをもとに簡単に説明いただきました。
そして、乳児院や児童養護施設などの各施設数と児童数等について厚生労働省の調査をもとに解説していただき、児童の措置理由としては「虐待」が最も多く、虐待を受けた児童が年々増加傾向にあることや、児童養護施設の児童の年齢が、入所時には0歳から5歳の子どもが多いのに対し、在籍児童数は12歳から17歳が最も多いこと、在籍期間は4年以上から8年未満が多いため、高校進学率は高くなったけれど、進学率は一般に比べ低く、高校卒業後の進路として就職を選択する児童が多くなっている現状について教えていただきました。
続いて、講師が携わった「大学進学に関する調査」について、調査の目的や調査内容や調査手順、調査協力者の進路希望と契機の有無、最終学歴といった調査方法を説明いただきました。
調査協力者について「一貫型」・「他己調整型」・「自己調整型」のパターン別に事例を紹介いただき、その上で、調査からは、進学は本人の意思ややる気だけの問題ではなく、学べる環境が保証されてはじめて「学ぶ」につながること、学習機会や環境の不足の示唆、課題としては経費やアルバイトで生活を支えなければならない経済的負担など、調査から見えてきた進路実現のための要件について説明いただき、新型コロナウィルスがどれだけ影響を与えるのかについて、現在の問題点についても語っていただきました。
最後に、令和2年の4月から始まった、高等教育の就学支援制度について紹介いただきました。

 

参加者の声

  • 児童養護施設の子どもたちのことについては、自分から知ろうとしなければ情報が入らないので、とても興味深く聞かせていただきました。
  • 事例のお話や新制度について聞くことができてたいへん勉強になりました。来て良かったです。ありがとうございました。
  • あまり知らない分野のお話でしたが、興味深く、拝聴しました。考えることが多くありました。
  • 学べる環境が保障されて、はじめて「学ぶ」につながるということはとても大切なことだと思いました。コロナ禍の中、子どもたちすべてが「学ぶ」環境を失うことになっている、今、この現状は、ゆゆしき事態だと改めて感じました。