みえアカデミックセミナー2020
皇學館大学公開セミナー
「 『日本書紀』と『古事記』 」の事業報告

開催日
2020年7月17日(金曜日)
開催場所
三重県文化会館1階 レセプションルーム
開催時間
13時30分から15時00分まで
講師
皇學館大学 文学部 神道学科 准教授 板東 洋介 さん
参加人数
38名
令和2年度は新型コロナウィルス感染防止対策として会場収容率50%以内にて開催しました。
参加費
無料

「みえアカデミックセミナー」は三重県内の大学・短大・高専・放送大学を含めた高等教育機関との連携で生まれた公開セミナーです。
毎年7月から8月(2020年度は7月17日から8月27日まで)にかけて、三重県総合文化センターを会場に、各校1日程ずつ、選りすぐりの先生にご専門の研究内容を分かりやすく講演いただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」から既に20年を過ぎ、「みえアカデミックセミナー」としては、17年目を迎えました。
今後も、県内の皆さんにたくさんの「まなびの種」をお届けしてまいります。




皇學館大学 文学部 神道学科 准教授 板東 洋介 さん

令和2年度 第1回目皇學館大学公開セミナーは、
神道学科 准教授 板東 洋介 さんを講師にお迎えしました。

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  • 【講演概要(ホームページ・チラシ紹介文より)】

    今年で撰述(せんじゅつ)1300年を迎える『日本書紀』は長く伊勢神宮の神職たちによって研究され、また津の谷川士清(たにがわ ことすが)が『日本書紀通証(にほんしょきつうしょう)』を著し、三重県と深い縁のある書物です。また『古事記』についても松阪の本居宣長が画期的な研究を成し遂げました。ともにわが県と関わりの深いこの二つの神話の関係や相違点についてお話します。

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講演の様子1


  • 【講演要旨】
    1.「記紀」 二つの神代史
    2.記紀と二人の伊勢の学者
     ・『古事記』『日本書紀』の価値の逆転
     ・士清と宣長 論争と交友
    3.記紀の何が異なるのか? イザナミの神避をめぐって
     ・イザナミの生死とスサノヲ像
     

講演の様子2

初めに、『古事記』と『日本書紀』とはどのようなものかについて説明がありました。
『古事記』は、全三巻で歌や恋物語が多く、口承性と韻律が保存されており、一方の『日本書紀』は全三十巻で中国の歴代史書にならった体裁であり、文体や概念が漢籍由来となっていることや、国家の正史として膨大な注釈が存在することなど基本について教えていただきました。
続いて、『日本書紀』の研究者である谷川士清と『古事記』の研究者である本居宣長について、それぞれが手掛けた注釈書についてや、300年ほど前までは逆であった「記紀」という順番が固定化された根拠、士清と宣長の交流や論争を通して、二人の研修者が『古事記』と『日本書紀』をどのように考えていたのかについて迫りました。
最後に『古事記』と『日本書紀』は、ほぼ同じ神話を伝えているにもかかわらず、何が異なるのかについて、宣長が唱えた、同じ物語の二種類の語りではなく、別々の世界観とストーリーを語っているという説をもとに、イザナミの生死とスサノヲ像の違いを通して『古事記』と『日本書紀』の違いを解説いただきました。



参加者の声

  • 古事記と日本書紀の違いが士清と宣長の違いと共に説明されて、とても分かり易く、興味深く学ぶことができて、良かったです。
  • 古事記と日本書紀の比較をわかり易く解いて頂き、おもしろかったです。
  • 日本書紀と古事記について、これを機会にもう一度勉強してみたくなりました。
  • 記紀について成り立ちや研究者など興味深く拝聴しました。