みえアカデミックセミナー2020オープニング
小林弘幸講演会
「 自律神経と腸内環境で知る 本当の<健康> 」
の事業報告

開催日
2020年7月5日(日曜日)
開催場所
三重県総合文化センター 中ホール
開催時間
13時30分から15時00分まで
講師
順天堂大学医学部総合診療科学講座・病院管理学研究室教授 小林 弘幸 さん
参加人数
256名
参加費
無料

『みえアカデミックセミナー オープニング』は、毎年夏に開催する三重県内の全ての高等教育機関が参加する『みえアカデミックセミナー<公開セミナー>』に先駆けて、日本各地から国内トップレベルの研究者に最先端の研究成果を紹介していただく大型講演会です。
令和2年度は「腸」の研究の第一人者であり、自律神経研究のスペシャリストでもある、
順天堂大学医学部総合診療科学講座・病院管理学研究室教授の小林 弘幸さんを講師にお迎えして、「自律神経と腸内環境で知る 本当の<健康>」と題して、自律神経と腸の関係から現在流行している「新型コロナウィルス」についても触れながら、講演いただきました。


順天堂大学医学部総合診療科学講座・病院管理学研究室 教授
小林 弘幸さん


講演の初めに、小林先生は「意識を持って行動する」重要性についてお話しいただきました。
人がミスをおかす5つの要素として、「余裕がない」・「自信がない」・「予想外のことが起きた」・「体調が悪い」・「環境が悪い」のどれかに当てはまり、今自分がこれらの状況に陥っていないか判断できるかどうかで道が分かれるとおっしゃられました。

また、新型コロナウィルスで一番怖いのは、人間のバランスが簡単に崩れてしまうことだと指摘されました。

宇宙飛行士たちの突然死をきっかけとして研究が進み、「自律神経」が血流をコントロールしていることが分かってきたため、10年程前から一気に免疫の研究者たちに「自律神経」という言葉が注目されだしたとのこと。

「本当の健康」とはどのような状態なのか、講師の研究成果と事例をもとに、自律神経と腸内環境の重要性を説明いただきました。

自律神経とは「交感神経」と「副交感神経」で構成され、その関係はアクセルとブレーキのようなもので、今後増加が懸念されている「コロナ鬱」の原因にもなりうるそうです。
さらに、自律神経と年齢の関係性では、交感神経には20代も70代もあまり違いがみられないのに対し、副交感神経の力は年代と共に落ちるとされ、脳梗塞・心筋梗塞・癌はこの神経の総合力が全体的に落ちることで発生が高まるのだと説明されました。また、自律神経と曜日や地域・気候の意外な関係についても触れられ、自律神経は影響を受けやすくバランスを崩しやすいのだと教えていただきました。そして、最も悪影響を及ぼす原因が「怒り」の感情であり、「怒り(交感神経)」と「叱る(副交感神経)」の違いや、「怒り」で乱れた自律神経は4時間以上影響が続くこと、「怒り」を感じたら喋らずその感情から時間をおくという対処法を示されました。



「免疫機能と新型コロナウィルス」の関係や「自律神経とコロナ鬱」の関係についてもお話しいただきました。

続いて、今回のもう一つのテーマである「腸」については、「自律神経」を整えるために重要な場所が「腸」であり、
医学界のヒーローとして、ウィルスに攻撃命令を出す細胞がいる器官として新型コロナウィルスで再注目されていると説明されました。
発生医学的にも「脳」よりも先に「腸」から出来ると強調され、腸内環境の悪化は認知症の原因や労働生産率低下にもつながるなど人間の体の様々な影響を与えるとおっしゃられました。

当日は手話通訳者2名の方に協力をいただきました。

そして、アフターコロナに向けて「健康」について気を付ければいいのかということについて、一つは「呼吸」であり、吐く呼吸は副交感神経に影響を与えることから1:2の呼吸を心がけるといいとのことです。そして、今日から人生を変えたければ呼吸を意識できるので「ゆっくり」をキーワードに行動するといいとアドバイスされました。
二つ目は「食事」。特に体内時計のスイッチを作動させるためには朝食が最も重要であり、地味に思えるかもしれないことを積み重ねることが大切だと語られました。
さらに、「笑い」は癌を攻撃するキラー細胞を作ることが出来ることや「睡眠」をよくするための3つのポイント、日記を書く有効性、健康診断の重要性について説明されました。
最後に、何か体に症状が出た際には今回の講演を思い出して早期発見に努めていただき、一人ひとりが「健康」に過ごしていただきたいと締めくくられ、講演会は終了しました。

ユーモアを交えての講師のトークに、皆さん興味深くリラックスした雰囲気で聴いていらっしゃいました。
当日は新型コロナウィルスの感染対策を行いながら開催しました。
参加者の皆さんにも、マスクの着用や検温・消毒に協力していただきました。

小林弘幸さんの事前インタービュー記事(Mnews vol.130掲載)はこちら

参加者の声

  • 今日から呼吸、笑う、よく眠るをしっかりと意識していきたいと思いました。
  • 大変判りやすく話してもらってよかった。今後の生活に活かします。素晴らしい講演会でした。ありがとうございました。
  • ユーモアをまじえながら、腸が大切という話を聴くことができよかったです。呼吸も意識しながら元気に働き続けられるようにします。
  • 自律神経と腸内環境とってもいいお話を聞かせていただき、実行していきたいと思います。ありがとうございました。
  • おもしろくて勉強になりました。コロナの事も知れてよかったです。
  • 素晴らしいお話でした。日常生活では簡単に取り入れられる事ばかりなので、是非実践したいです。ありがとうございました。
  • 健康についてとてもいい勉強になり、楽しく拝聴させていただき有難うございました。朝食と運動に留意して健康な生活を続けたいと思います。
  • 腸内環境を整えることが、いかに大切かよくわかりました。コロナの不安を抱えながら生きていく時、グッドタイミングのお話しを聞かせていただきました。ありがとうございました。