松本猛講演会「ぼくが「ちひろ美術館」(東京・安曇野)を作ったわけ」の事業報告
子どもや花の絵で人気のある画家いわさきちひろさんの長男で講師の松本猛さんは、1974年に55歳という若さでちひろさんが亡くなってから3年かけてちひろ美術館を作られました。その頃は絵本はアートとして認められていなかったため、ちひろさんの絵を既存の美術館で展示することはできなかったそうです。そこで、自分で美術館をつくることを決心されました。
絵本『戦火の中の子どもたち』、『あめのひのおるすばん』など松本さんにとってターニングポイントになった作品の画像をスクリーンに映しながら、どのように絵本を美術として世間に確立していったか、また美術館づくりについての様々なアイディアやコンセプトについてお話しされました。
そして美術の見方について、アートは本来人間の心の喜びのために存在しており、良いものは時代が判断する。江戸時代は庶民の楽しみだった浮世絵が今では美術館に飾られている。今後100年たったら20世紀のアートはイラストや漫画が美術となっているかもしれないというお話もありました。
鳥羽市立海の博物館と同じ建築家内藤廣さんが設計された安曇野ちひろ美術館についても、様々な世代が楽しめる工夫や、ミュージアムショップの重要さなど写真を示しながらご説明されました。
絵を観ることは想像する喜びであり、美術館は子どもにとっても楽しい場所であるべきであり、それはその子どもの人生を豊かにするものであると説明されました。
会場のロビーでは、三重県総合文化センターで所蔵する、ちひろの絵の師匠であった三重県出身の中谷泰氏の絵画が飾られ、三重県立美術館所蔵の関連書籍なども展示されました。また書籍販売とサイン会、関連グッズの販売もあり、多くの人で賑わっていました。
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サイン会
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三重県出身の中谷泰の作品が飾られました
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いわさきちひろグッズの販売
- 最初はいわさきちひろさんのご子息なのでちひろさんの思い出話なのかと思いましたが、大変幅広い内容で特に美術館の運営についての話は興味深かったです。予想以上のおもしろい講演でした!
- 美術の楽しみ方、多くのすばらしい作品に出会うことの大切さを教えていただいたように思う。子どもの時に多くの美術と出会うことが、その人の人生を左右することを知った。
- ちひろさんは芸術家、その絵は芸術品というのは、まさにその通りだと納得しました。ちひろ美術館にいつか行きたいです。
- すばらしい講座であった。ちひろ、そして絵本の大切さがよくわかった。松本猛氏の感性に感動しました。(特に反戦のこと)