講座ボランティア企画【第71回名盤を聴く ヘンリク・シェリング特集 】の事業報告
まず、講師よりシェリングの生い立ちについて概説されました。1918年、ユダヤ系ポーランド人として生まれた彼は、世界情勢に翻弄され、ヨーロッパ各地を回り、7か国語を駆使するまでになり、ソルボンヌ大学で哲学・美学を学ぶほど優秀であったといいます。 プログラムの中盤では著名なピアニスト、タッソ・ヤノプーロ、アルトゥーロ・ルービンシュタインとの競演も楽しみました。ルービンシュタインとのベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ≪クロイツェル≫は2つの楽器が火花を散らしている様子が想像できました。
プログラムの最後を飾ったのはブラームスのヴァイオリン協奏曲です。演奏するのはパリ音楽院の教授や卒業生が演奏会に合わせて集結する即席の管弦楽団であり、フルートはミシェル・デボストが務めていることが紹介されました。また、この演奏が収録された1960年代までは、ホルンの形式を取り上げてみても、「ピストン式」「ロータリー式」と分かれており、言うなれば、使う楽器のメーカー製造国によってオーケストラの音が違ったそうですが、現在は、統一の形式が使用されているので、オーケストラの音が「世界共通」になっているようだとの見解が話されました。
会場には、かつて鈴鹿で開かれたコンサートに実際に足を運んだ方もいらっしゃり、「貴重な映像を目にし、高潔であたたかみのある演奏に、臨場感が蘇った」と大変感動された様子で話されていました。
- 1. J.Sバッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第1番 ト短調 BMV.1001から
- 第2楽章 フーガ アレグロ (1964年11月24日 収録)[映像(5分45秒)]
- 2. ルクレール:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ長調 Op.9No.3
第1楽章 ウン・ポコ・アンダンテ 第2楽章 アレグロ 第3楽章 サラバンド ラルゴ 第4楽章 タンブリンプレスト [映像(11分4秒)]
3. ラヴェル:ツィガーヌ (ピアノ)タッソ・ヤノプーロ (1963年11月27日 収録) [映像(9分35秒)]
4.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 Op.47 《クロイツェル》 第1楽章 アダージョ・ソステヌート~プレスト 第2楽章 アンダンテ・コン・ヴァリアツィオーニ 第3楽章 フィナーレ プレスト (ピアノ)アルトゥーロ・ルービンシュタイン (1958年12月30日 収録) [32分36秒]
――――――― 休 憩 ――――――
5.ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77 第1楽章 アレグロ・ノン・トロッポ 第2楽章 アダージョ 第3楽章 アレグロ・ジョコーソ、マ・ノン・トロッポ・ヴィヴァーチェ
(指揮)ポール・パレー、パリ音楽院管弦楽団 (1962年12月 収録)[映像(39分35秒)]
- 毎回新しい発見があるので今日も楽しみにしてきました。音楽をじっくり聴けるので嬉しいです。バイオリンの音色が素敵でもっと聞きたいって思いました。今後も是非来たいです。自分でもCDとか探してみたいです。
- 迫力あり、繊細さあり、美しい音色ですごくよかった。特にベートーベンのソナタは絶品。ブラームスも最高!ありがとうございました。
- 今回も映像が多く、シェリングさんの高潔な人柄とまっすぐな演奏を堪能させていただきありがとうございました。