三重県総合文化センター開館25周年記念事業
みえアカデミックセミナー2019 オープニング
石黒浩講演会
「ロボットによる生活・学習支援」の事業報告

開催日
2019年7月7日(日曜日)
開催場所
三重県総合文化センター 中ホール
開催時間
15時00分から16時30分まで
講師
石黒 浩さん(大阪大学基礎工学研究科教授<特別教授>・ATR石黒浩特別研究所客員所長<ATRフェロー> )
参加人数
533名
参加費
一般:500円/学生:無料

夏恒例の「みえアカデミックセミナー<公開セミナー>」に先駆けて、令和初のオープニング講演会では、自身そっくりのロボットや著名人のロボットを製作したことでも有名な、大阪大学基礎工学研究科教授(特別教授)・ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)の石黒 浩さんを講師にお迎えして、「ロボットによる生活(くらし)・学習(まなび)支援」と題し、ご講演いただきました。

大阪大学基礎工学研究科教授(特別教授)石黒浩さん


初めに、石黒先生がなぜロボットの研究に携わるようになったかについてお話しされ、開発してきた様々なロボットを紹介されました。
ロボットやコンピュータに人間はどうして不安を感じるのかという問題や、ネガティブな感情を抱く一方で、最も単純に人型をデフォルメした「ハグビー」というロボットを抱くとストレスホルモンが軽減したり、自閉症の患者が対話型ロボットなら平気だったりするポジティブな例を紹介され、ロボットと人とのかかわりについて解説されました。

ロボットと人間の関係をユーモアを交えて語っていただきました。

人とかかわるロボットの研究開発を通して、人間の本質とは何か、「人間のアイデンティティ」とは何かということや、ロボットを通して考えられる、存在感や肉体、そもそも「生命」とは何なのかという石黒先生が追及されている哲学的ともいえる問題に、受講生の皆さんも興味深く真剣に聴いていらっしゃいました。

最後に、ロボットが将来人間の仕事を奪うのではないかとネガティブに捉えるのではなく、ロボット社会がもたらすものとは、ロボットが担うことができる労働はロボットに任せ、余裕が出来た時間に人間は人間の存在について「考える」事ができるようになり、進化によって多様性や人に幸せをもたらす時代がくることだとおっしゃられ、ロボット社会の到来について従来とは違った視点から学んだ講演会でした。

当日は手話通訳の方に協力をいただきました。
皆さん真剣に耳を傾けていらっしゃいました。
当日は鈴鹿工業高等専門学校のロボットの展示も行いました。
書籍販売のコーナーではたくさんの方が購入されていました。



 

参加者の声

  • ロボットを作ることで人間を知ることができるのは面白い。
  • ロボットの話だけでなく、その未来像や先生の人生観まで聞けたのでとても良かった。
  • 未来に期待の持てる話でよかった。これからの研究開発に期待しています。
  • 中学生でもわかるように、具体例として映像がたくさんだされていて、わかりやすく感じた。機械と人間の関わり方を深く考えさせられた。
  • ロボットと人間は全然別のものとのイメージがありましたが、ロボットにより、人間の本質とは何かを深く考えなければならないものであり、人間とは何か、感情とは何か、対話とは何か、考えるきっかけになりました。話も楽しく有意義な時間でした。
  • 今まで考えてもみなかった新しい考えを知った。本当に人間が生きる目的の本質を考えさせられた。
  • ロボットが将来、活用されるようになるとは思ってましたが、人間の本質、生命の本質まで影響することを知り、その深さに感銘しました。