講座ボランティア企画 郷土を歩こう!【漂流民・大黒屋光太夫の地を歩く~光太夫の白子・若松を訪ねて~】の事業報告
講座ボランティアシリーズ企画【郷土を歩こう!】を開催しました。今回は「漂流民・大黒屋光太夫の地を歩く~光太夫の白子・若松を訪ねて~」と題し、大黒屋光太夫記念館とその周辺を巡り、文学の中での光太夫にも迫る盛りだくさんの講座となりました。
まず、記念館およびその周辺の散策で構成される第一部 大黒屋光太夫とは?では、春の企画展「光太夫の里帰り」を、代田学芸員に説明いただきながら見学を行いました。従来の研究では、江戸に幽閉されたままその生涯を閉じたとされる光太夫が実は1度だけ里帰りをしていたことが、鈴鹿市指定文化財「大黒屋光太夫らの帰郷文書」(1986年発見)からわかるそうです。
次に、鈴鹿市立若松小学校にある<光太夫坐像>、大黒屋光太夫家と、光太夫と共にロシアから戻った磯吉の菩提寺でもある<心海寺>、若松公民館の脇にある<三代目開国曙光碑>を長年地元で活動を続けられている大黒屋光太夫顕彰会の皆さんのご案内で散策をしました。心海寺では、磯吉がロシアから江戸へ戻り、帰郷した際に当時の住職・実静が聞き取りして記録したと言われる「極珍書」を特別に見せていただきました。

後半は会場を若松公民館へ移動し、第二部 小説に描かれた光太夫では、「井上靖『おろしや国夢酔譚』吉村昭『大黒屋光太夫』を読む」と題し、日本文学研究家・河原徳子さんの講座が行われました。第一部で学んだことが第二部へつながります。講師によると、井上作品は文語調で場面によっては世界史実が語られ、一方、吉村作品はストーリーのみによって語られるので芝居のような感覚で楽しめるそうで、ロシア語で(かわいそうに)を表すのにも「オホ・ジャルコ」(井上)「オホ・ジャウコ」(吉村)のように表現の違いがあると解説がありました。また、朗読では【暴風雨に見舞われ漂流するシーン】【脚切断手術の描写】など場面に沿って、太鼓の生演奏が行われ、より臨場感が迫ってくるようでした。

- 地元の方の御協力でよい講座になったと思います。感謝します。
- 内容が多くて、時間がすぐ過ぎてしまった感じでした。もっと深くお話を聴きたいと思ったのは私だけでなかったと思います。きれいな会場で行き届いた心づかいが有難く感謝します。
- 現地に来なければ見られないもの、手に入らないものをいただき、ありがとうございました。
- 史跡、記念館などそれぞれに説明が丁寧で楽しく受講できました。どうもありがとうございました。また参加します。