みえアカデミックセミナー2018
移動講座(伊賀市会場)
「 薬と香りの世界 有機化学の観点から 」
の事業報告

開催日
2019年1月22日(火曜日)
開催場所
ハイトピア伊賀(〒518-0873 伊賀市上野丸之内500)
開催時間
13時30分から15時00分まで
講師
放送大学三重学習センター 所長 清水 真さん
参加人数
68名
参加費
無料

毎年度夏に県内の高等教育機関と連携し、三重県総合文化センターで開催している公開セミナー「みえアカデミックセミナー」。秋からは、更に各市町が加わり「みえアカデミックセミナー移動講座」として出張講座を開催しています。今年度は、熊野市、菰野町、伊勢市、紀北町、伊賀市、御浜町の6市町での開催です。

みえアカデミックセミナー2018移動講座(全6回)の第5回目は、放送大学三重学習センター・伊賀市教育委員会と共催して伊賀市の会場にて開催しました。

放送大学三重学習センター 所長 清水 真さん

放送大学三重学習センター 所長 清水 真さんを講師にお招きし、私たちの生活に欠くことのできない、医薬品及び香料について、薬剤や香りを始めとする生理活性化合物の特長や効果、さらに忍者が、それらの成分を巧みに利用していた事例についても紹介していただきました。

1.有機化学と薬
2.香料を学ぶ前に
3.香料の科学史
4.「におい」とは何か?
5.香料
6.においのバイオサイエンス
7.まとめ

まずは、有機化学とは何かについてサッカリンやオレンジジュースなどの身近な物質をもとに分子機構や化学式を用いて説明していただきました。また、有機化学の観点でいけば「くすりは基本的には毒であり、毒の一部がくすりであるにすぎない」とおっしゃられ、トリカブト(猛毒)が漢方薬になったりニトログリセリン(爆薬)が狭心症薬になったりするなど意外な薬のお話を紹介されました。他にも、分子式は同じでも性質の異なる化学物同士の関係(異性体)についてなど、身近な薬が有機化学を上手に活かして作られていることを、時に専門用語を交えながら分かりやすく説明していただきました。
「香料とは何か」についても解説され、私たちの生活にどのように香料が使用されているのについて、薬として用いたり、食べ物の臭いを消すために利用した文明が存在したこと、宗教的に用いていたものが香りそのものを楽しむために用いられるようになったことなど、人類と香料の関係について紹介いただきました。
伊賀流忍者が「香り」を巧みに利用していたことについても触れられ、虚無僧や商人など忍法七法出と呼ばれる様々な身分の人物に成りすましての潜入時には山伏には護摩、薬売りなら和薬の香りを使うなど香道の知識を有していたことも説明されました。
また、逆に体臭を消すためにお風呂に薬草の香りを用いていたり、食事の時に香りに気をつけて肉や香草は食べないなど日常生活にも香りを利用していたことや、精神統一に香りを用いるなどアロマテラピストとしても優れていたことを紹介され、この日の講演は終了しました。

  • セミナーの様子
  • セミナーの様子2
  • 当日は合成香料のサンプルを受講生の皆さんに試していただきました

参加者の声

  • 香りの化学的要素が理解できた。
  • 忍者と香りの関係についてより詳しく知りたいと思いました。
  • 薬について少し知識が増えました。
  • 少しむつかしいお話しと思いましたが やさしくお話しいただいてくすりと香りのことよくわかりました。
  • よいお話しとてもよい気持ちになりました。