みえミュージアムセミナーパラミタミュージアム「生き延びた江戸浮世絵版画」の事業報告
菰野町にあるパラミタミュージアムで2018年12月6日から始まる企画展「浮世絵モダーン 深水の美人!巴水の風景!そして…」に併せて、パラミタミュージアム学芸部長の湯浅英雄さんに、江戸から明治に大きく時代が変わったときに、日本の美術界はどのように変化していったのかについて解説していただきました。
明治になり西洋の印刷術が普及するとともに、19世紀の世界を魅了した江戸木版画は衰退をしていきました。明治に発行された新聞に挿絵として錦絵(浮世絵)が使われたのですが、その絵は描き手の「意思」を伝えるものではなく、写真と同じく「意味」を伝える手段として描かれており、ジャーナリズム的要素の強いものだったそうです。
そして明治末期になり、芸術家たちは西洋での近代美術の考え方を学ぶようになり、江戸時代までは「絵、彫、摺」は分業制であったものを、作者の自由な表現を第一としてすべて作家が自分で行う「創作版画」が行われるようになりました。さらに大正時代には、浮世絵は、印刷物から芸術作品への転換を迎え、伝統の彫師、摺師の技術を生かしながら、画家自身がその過程に立ち会い、納得のいく作品を生み出していく「新版画」となり、日本画家(洋画家、彫刻家)が、表現の一手段として新版画制作に携わっていくようになったそうです。
講師は、橋口五葉、伊藤深水、川瀬巴水などの多くの浮世絵を映像で映しながら、時には一部分を拡大して、細部のこだわりなどを説明され、日本の浮世絵の技術は世界に誇る技であると締めくくられました。
- 初めて浮世絵のお話を聞いて、とても興味がわきました。美しい美人絵に魅了されました。日本人はすごい!
- 江戸時代の浮世絵が好きなので、展覧会にはよく出かけますが、新版画のことは今日初めて知りました。美人画が特に好きなので、モダーンな浮世絵を是非見に行こうと思いました。
- 細部の紹介が良かった。つづきをぜひ。