みえアカデミックセミナー2018 鳥羽商船高等専門学校公開セミナー
講演1「 生活の中のトライボロジー 」
講演2「 自動制御の歴史 ~ワットの遠心調速器から先端機器まで~ 」の事業報告

開催日
2018年8月23日(木曜日)
開催場所
三重県文化会館1階 レセプションルーム
開催時間
13時30分から15時30分まで
講師1
鳥羽商船高等専門学校 商船学科 助教 小田 真輝 さん
講師2
鳥羽商船高等専門学校 電子機械工学科 教授 宮﨑 孝 さん
参加人数
36名
参加費
無料

「みえアカデミックセミナー」は県内の大学・短大・高専・放送大学を含めた高等教育機関との連携で生まれた公開セミナーです。毎年7月~8月(2018年度は7月14日~8月23日)にかけて、三重県総合文化センターを会場に各校1日程ずつ、選りすぐりの先生に、ご専門の研究内容をわかりやすくお話ししていただいています。
前身となる「みえ6大学公開講座」から既に20年を超え、「みえアカデミックセミナー」としては、15年目を迎えました。
これからも皆さまに、たくさんの「学び」をお届けしていきたいと思います!

鳥羽商船高等専門学校 商船学科 助教 小田 真輝 さん

第15回目の鳥羽商船高等専門学校公開セミナーでは、二人の講師をお招きし、2つのテーマで開催しました。
生憎の台風でしたが、2018年度も全15講座すべてを開催でき、受講生の皆さんに最後までご参加いただいて、セミナー終了後には10講座以上参加された方への修了証書授与式も開催しました。

講演1では、商船学科 助教 小田 真輝さんを講師にお招きし、実は私たちの身近に存在し、役立っている「トライボロジー」について、「トライボロジー」とは何か、その歴史や、日常生活の中にある「トライボロジー」の事例を紹介していただきました。

一般的に耳にしたことがあまりない「トライボロジー」と
セミナーの様子1


いう言葉ですが、簡単に言えば「摩擦」・「摩耗」・「潤滑」の科学のことであると解説され、古代エジプト文明でもそりをつかって資材である巨石を運搬する時に「トライボロジー」の原理を使用し、神殿やピラミッドを建設していたという古くからある科学であると語られました。また、「トライボロジー」の研究にはレオナルド・ダ・ヴィンチが関わっていたり、機械の発達の際に研究が進んできたりするなど「トライボロジー」が時代の先端技術と密接に関係があることを分かりやすく教えていただきました。
そして、そもそも摩擦とはいった現象なのかや「トライボロジー」を制御する技術、カーリングや歯磨きやといった身近な「トライボロジー」について解説されました。


 


鳥羽商船高等専門学校 電子機械工学科 教授 宮﨑 孝 さん

講演2では、電子機械工学科 教授 宮﨑 孝さんを講師にお招きし、家庭から産業まで、現代社会を支える「自動制御」について、「自動制御」とは何か、何に使われているのかを研究開発の歴史を交えながら紹介していただきました。

自動制御の身近な例として、エアコンや給湯器を挙げられ、家庭の機器のほとんどが何らかの形で制御が行われていると語られました。そして、そもそも「制御」とはどういう状態を指すのかについても解説していただきました。

セミナーの様子2

「自動制御」の歴史は、イギリスのジェームス・ワットが蒸気機関を発明(改良)する際に重要な役割を果たした速度制御のために使用した「遠心調速器」からスタートしました。そして、マクスウェルのハンチング(振動)現象の解明による制御理論の登場に続き、化学合成における制御や通信分野でのフィードバック増幅器についても紹介いただきました。
そして、残念ながら「自動制御」の技術が飛躍的に発展した背景には戦争による技術革新が大きいととも解説され、新しい制御理論が研究された結果、コンピュータの発達によるロボット制御の発展につながり、現代は第4次産業革命の時代にあたるのかもしれないと語られました。

参加者の声

  • トライボロジー なるほどこんな学問もあるのかと感心しました。生活に密着した例話は興味を持ちました。
  • 世の中の技術の進歩が平和にのみ役立てばと思いつつお聞きしました。
  • トライボロジーは初めて目にした言葉でしたが身近にある事象だということがよくわかりました。「まさつ」がないと歩けない…、なるほどと思いました。ワットやマクスウェルなどから始まった自動制御の話も分かりやすくて良かったです。
  • トライボロジーは身近な学問たっだが、改めて学習することが出来た。自動調速はガバナーが基本であることが再認識出来た。ワットの蒸気機関はガバナーの開発も含まれていたことは新しく知った。
  • トライボロジーのことを知る事ができてとてもよかった。制御の歴史について知ることができてよかった。
  • 自動制御の歴史を知って何に役立つのか、考えてみたいです。生活の中のトライボロジー色々な分野の研究が存在するものだと認識させられました。