みえアカデミックセミナー2017 移動講座(桑名市会場)
「自動車はどうして曲がっていくのだろうか?
-将来の車に必要な運転者とステアリングの関係-」
の事業報告

開催日
2018年1月13日(土曜日)
開催場所
桑名市中央公民館2階大研修室
開催時間
10時30分から12時15分まで
講師
近畿大学工業高等専門学校 総合システム工学科 機械システムコース長  教授 後藤 武志さん 
参加人数
32名
参加費
無料

毎年度夏に県内の高等教育機関と連携し、三重県総合文化センターで開催している公開セミナー「みえアカデミックセミナー」。秋からは、更に各市町が加わり「みえアカデミックセミナー移動講座」として出張講座を開催しています。今年度は、紀北町、松阪市、鳥羽市、桑名市、尾鷲市の5市町での開催です。

みえアカデミックセミナー2017移動講座(全5回)の第4回目は、近畿大学工業高等専門学校・桑名市教育委員会(桑名市中央公民館)と共催して桑名市の会場にて開催しました。

十人十色な自動車から十人一色、誰もが共通して必要とする技術開発が理想的だと、これからの自動車開発の未来について語られました。

自動車技術の進歩は日進月歩。もはや自動運転も夢物語ではなくなってきています。次世代車両にとって重要となる操舵システムを例に、運転手や環境を考慮に入れた制御システムの重要性、生態心理学からみた人間のハンドル操作の特性について解説し、人間の触覚の不思議や環境によって車の性能が変わることや、自動操舵と人による運転をいかに協調させるかといった課題についても紹介していただきました。

最初に、先生がこれまで携わられてきた技術開発の経験について、映像を交えながら紹介されました。自動運転に関する技術開発について、近年注目されるようになってきているが、実は30年前くらいには今日の自動操縦につながる技術が既に開発されていたことに触れられ、当時は自動運転について、ハンドルを人ではなく、自動で操作されることはあり得ないと否定されていたことやコストの問題などで全く相手にされなかったことについても触れられ、新しいコンセプトを提案し、開発につなげる難しさについて語られました。
そして、自動車に限らず商品を開発する際には技術者目線ではなく、常にお客さんの目線でものづくりを行うことが大切だとも語られ、技術開発を行う上では、未来に不足している技術を見抜く目利き能力が大切であり、その為には、未来を創造する力を養うことが大切だと説明されました。

車の特性やそれぞれの技術が車の運転になぜ必要なのかということを、模型を使って説明されました。

続いて、ステアリングの歴史について触れられ、ハンドルの形が自動車の変化や技術開発がなされた結果、現在は楕円の形をしていることや、ハンドルを持つ位置によって、体にどのように力が入るのかなど説明されると、受講生の方から驚いた声が上がっていました。車の特性については、車線変更の際に人が無意識で行っている行為と実際のハンドリングが違うことを説明し、自動運転技術にはこうした人間が無意識で行っていることを解析することが重要であり、自動運転の開発には人間を知ることが何より重要だと説明されました。
最後に、自動運転で目指すべき未来のビジョンを紹介され、道路が狭くても安全になることから、その分街の緑化や遊歩道の整備が進められるといったことや、自動車の内装がより自由度が広がるといったことが想像されると説明されました。そして、次世代車両の理想形は「馬」であり、簡単な操作でドライバーの意図を理解し、自動操舵が可能になることや、ものづくりにおいては、自然の形が一番美しく、美しいと思う「心」を養うことで「美しいもの」をこれから創っていって欲しいと話され、この日の講義を終了されました。

時々受講者の皆さんに質問を交えながら、講座を進められました。専門的な内容ながら皆さん熱心に参加されていました。
講座終了後も、質問をされている受講者の方もみえました。

参加者の声

  • 講師さんが専門的分野を非常にわかりやすくご説明いただいた。
  • 自動車がどうして曲がっていくかがわかりやすく理解できた。ハンドルを持つ位置が大部分の人が10時10分と思っていたが、8時20分の位置の人が意外に多く驚いた。未来の自動運転の車や道の幅について、おもしろく説明が聞けました。
  • 専門的な話をなるべくせずにご自分の経験なども含めたお話で興味深い講座でした。総文ではなく市内での開催だったので参加できてよかったです。事故のない社会になるといいなと思います。