みえミュージアムセミナー パラミタミュージアム「並河靖之と明治七宝の歩み」の事業報告
菰野町にあるパラミタミュージアムで開催中の企画展「並河靖之 七宝展」にあわせて、パラミタミュージアム学芸部長の湯浅英雄さんに、「並河靖之と明治七宝の歩み」と題して、明治時代、ヨーロッパの万博などによって人気を博した七宝の第一人者並河靖之についてご講演いただきました。
並河靖之は京都の武家に生まれ、青蓮院宮家の侍従を務める並河家の養子になり10歳で出仕、22歳のときに大政奉還を迎えました。28歳の時に七宝の制作を始め、驚いたことに第1号の作品は1年もかからずに作り上げているそうです。その後、国内外の博覧会で成功を収め、特に作品の90%はヨーロッパへ輸出されており、日本よりも海外での人気が高かったそうです。
現在の人間国宝にあたる、帝室技芸員に任命されるなど七宝作家として一流の地位を確立しましたが、大正期に入ると七宝業全体が衰退し、並河も工房を閉鎖して、山科に鯉の庭を作って隠居生活を送りました。現在、明治工芸への関心の高まりに伴い、再び並河にも注目が集まってきているそうです。
後半は、企画展に展示されている作品を映像を使いながら説明されました。
生涯学習センター1階のエントランスで、関連パネル展示も始まり、ぜひ本物を見に行きたいというお客様の声も聞かれました。
- 七宝のアクセサリーのような小物の製作場面は知っていますが、このような大きな器はどのように造られるのだろうと疑問に思っていました。“巧の技”について学べて良かったです。現物を是非見たいです。
- 並河氏の人物及び作品について、丁寧に詳しく説明していただき、とてもよかったです。
- 七宝のことはよく知らないが、今日見た作品はどれもすばらしいものであった。七宝焼きについて調べてみようと思う