講座ボランティア企画「第64回名盤を聴く ジネット・ヌヴー特集」の事業報告
フランスで生まれたジネット・ヌヴーは15歳の時、ワルシャワの第1回ヴィエニャフスキ国際コンクールでは大差で1位に輝き、彼女より11歳年長のダヴィッド・オイストラフは妻への手紙に、「2位になれて満足してるよ。ヌヴー嬢は“悪魔のように”素晴らしかった……彼女が1位にならなければ、それは不公平というものだ」と書いたほど、早くから高く評価されていたそうです。
梶館長より、スークのブルレスクでは早弾きの技術の高さ、ブラームスのヴァイオリン協奏曲では、その燃えるような力強さ…といったようにヌヴーの幅広い芸術性が紹介され、強い眼差しで指揮者を見つめながらショーソンの詩曲を演奏する貴重な映像を鑑賞した後、同じ曲を違う音源で聴いてみるという、趣向を凝らしたプログラムで講座は開催されました。
今回の講座では、梶館長から参加者の方へ「想像しながら聴いてみてください」と話されたことが2回ありました。まずは、古い音源には「パチッ、パチッ」という音が時として入りますが、雑音と捉えず、その背景にある時代を想像してみる、そして、映像を見た後は、その強い眼差しをイメージしたまま聴いてみる、というものです。耳だけではなく、脳でも聴くことでより深く鑑賞できることがわかりました。
参加者の方からは「ヌヴーのことは知らなかったが、素晴らしい演奏だった」という声を数多くいただきました。
1.クライスラー:グラーヴェ ハ短調
(ピアノ)ブルーノ・ザイドラー=ヴィンクラー(1938年 ベルリン 録音)
2.ラヴェル:ツィガーヌ
(ピアノ)ジャン・ヌヴー(1946年 ロンドン 録音)
3.スーク:ウン・ポコ・トリステ(4つの小品 Op.17第3曲)
4.スーク:ブルレスク(4つの小品 Op.17第4曲)
(ピアノ) ジャン・ヌヴー(1948年 ロンドン 録音)
5.ショパン(ロディオノフ編曲):夜想曲 第20番 嬰ハ短調 遺作
(ピアノ)ジャン・ヌヴー (1946年 ロンドン 録音)
6.映像
7.ショーソン:詩曲 Op.25
指揮:シャルル・ミュンシュ /フィルハーモニック交響楽団 (1949年)
―――― 休 憩 ――――
8.ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.77
指揮:ハンス・シュミット=イッセルシュテット / 北ドイツ放送交響楽団(1948年 ハンブルク )
- 熱演するバイオリンの曲が目をふせていると、近くで聴いているようで良かったです。
- この講座がなければ、これ程の名演奏に接する機会はなかったと思いありがたいです。
- すばらしくきれいなヴァイオリニスト。全然知らなかったアーティストでしたが、力強い音色に圧倒。感銘を受けました。惜しまれる死。