まなびぃすとセミナー【日本人はどこから来たのか?―3万年前の航海 徹底再現プロジェクト―】の事業報告
今回のまなびぃすとセミナーは国立科学博物館人類史研究グループ長である海部陽介さんをお招きし、国立科学博物館・台湾史前文化博物館が共同で行っている「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」を中心にお話しいただきました。
「最初の日本列島人は3万年前以上前に海を越えてやってきた」その大航海の謎に迫るために、日本の博物館ではじめてクラウドファンディング(寄付・協賛)によって始まったプロジェクト。その航海がどれほど難しいものだったのか、3万年前はどのような時代だったのか、本題に入る前に世界や日本の人類史を復習します。演台から飛び出し、次々に変わるスクリーン画面の前に立ちながら、「どう思いますか」「聞いてみます、手を挙げてみてください」「ミエゾウはどうでしょう?」と、どんどん参加者へ質問していきます。たくさんの資料写真を見るうちに、壮大な世界へ引き込まれていきます。
後半には、2016年に実際に行われた与那国島から西表島への草束舟によるテスト航海の映像を見ました。「徹底再現」なので、草(ツル植物)も石で刈るのです。結果として途中断念となりましたが、草の船に何人もの大人が櫂を漕ぎながら洋上を進む様子は圧巻でした。
そして、今年6月、台湾からの竹筏舟によるテスト航海(途中断念)を経て、今後の予定と目標、プロジェクトの支援方法について話されました。
質疑応答でも、活発に手が挙がり、「皆さん核心を突く質問をされますね」と、海部さん。
講演終了後、ロビーにて書籍購入の方にサイン会も実施され、「ぜひプロジェクト成功してください!」と興奮冷めやらぬ参加者の方が海部さんに握手を求める一幕もありました。
今年の実験の様子は来年のNHKスペシャル『人類誕生』で見られます。また、草束舟、竹筏舟に次ぐ3つ目の可能性は、丸木舟だそうで、今月は能登で大木を石斧で倒す実験が行われました。実は、講演前の限られた時間で三重県総合博物館を訪れ、講演で話す材料を探していらっしゃいました。そして、講演後は丸木舟を漕ぐ実験の地、舞鶴へ舟の補修へ向かわれました。
「3万年前の航海、徹底再現成功」のニュースが早く聞きたい、参加者の方の多くがそう思いながら会場を後にしたのではないでしょうか。そのくらい情熱が伝わってくる90分間でした。
今後もプロジェクトから目が離せません。

国立科学博物館ー3万年前の航海 徹底再現プロジェクトーへのリンク
- 夢のある話で大変良かった。成功を期待したい。
- 非常におもしろかった!男のロマンというか、血が騒いだ講義だった。
- 大変実証的かつ野心的なプロジェクトですね。お話は直球勝負で聴きごたえがありました。
- 古代の人も冒険心が大きかったことがよくわかりその冒険心が現代の我々を創っていることを認識しました。
- 「SWITCHインタビュー 達人達」で大変興味を持っていました。とてもわかりやすいご講演ありがとうございました。
- とても興味が持てました。ある面で危険がともないますが皆様の勇気に頭が下がります。がんばって成功させて下さい。海部さんがんばれ!!