みえアカデミックセミナー2017
三重県立看護大学公開セミナー
「体を知ろう ~健康な生活のために~」についての
事業報告

開催日
2017年8月3日(木曜日)
開催場所
三重県文化会館1階 レセプションルーム
開催時間
13時30分から15時00分まで
講師
三重県立看護大学 理事長・学長 菱沼 典子さん
参加人数
139人
参加費
無料

「みえアカデミックセミナー」は県内の高等教育機関との連携で生まれた公開セミナーです。毎夏、三重県総合文化センターを会場に、各校1日程ずつ、選りすぐりの先生に少し高度な学習をわかりやすくお話ししていただいています。2017年度は新たに1校を参加校に迎え、全15日程開催しています。前身となる「みえ6大学公開講座」から既に20年を超え、「みえアカデミックセミナー」としては、14年目となります。今後も皆様に期待していただけるようなセミナーをお届けしていきたいと思います!!

第7回目の三重県立看護大学公開セミナーでは、今年度県立今後大学に赴任してこられた、理事長・学長の菱沼 典子さんを講師にお迎えし、知っておかなければならない身体の仕組みやストレスについて講演いただきました。

自分の身体は一番自分が詳しくならないといけないと先生が語られると皆さん真剣に聞いていました。

自分の体の中をイメージできる
まず初めに、先生から自分の体をどれくらい知っていますか?という質問が受講生の方にされました。私たちは自分の身体を客観的に見たり触れたりすることが出来ないことを説明されました。そして皆さんは配布された人体図に臓器とその名前を書き込むことに挑戦されました。そして、先生から正解の図が示されると、意外そうなどよめきが起こりました。実際の内臓器官と自分のイメージが如何に違うかということを皆さん実感されていたようでした。
続いて、体の知識は医療者が持っていればいいものではなく、自分自身が知っていなければならないと仰られました。例えば腎臓がどこにある器官で何個あるのかが分かっていなければ、「腎臓が悪いですよ」と言われても大事なことは分からないままだと説明され、健康づくりで大事なことは一人一人が自分にとって何が大切なのかの価値観を育てることであると語られました。

高血圧・糖尿病・不眠・お通じが通じない・感染しやすいといった生活習慣病と言われる症状はストレスに遭遇した人間の身体の仕組みから生まれていると先生は説明され、受講者の皆さんは驚きながら聴いていました。

ストレス時の身体の状況を理解する
ストレス時の身体の反応はそもそも人間の進化の過程で獲得されたものであると講師先生は仰られ、肉食動物等の捕食動物に遭遇した際に逃げるにしても闘うにしてもどちらの時にも骨格筋(骨度協働して体を動かす)の運動が活発になることで、ストレッサーに出会うと、人間の身体は今でも骨格筋が活動できるように身体を整える状態になるのだと説明されました。
ストレッサーにあった際の私たちの身体は分かりやすく言えば仁王像のような見るからに疲れる緊張状態になっていると仰られました。またハンス・セリエという学者はストレスで人間が死ぬ可能性があることを早くから警鐘していたそうです。
人類が誕生した時からストレッサーに遭遇した際の身体の仕組み(心拍数・血圧の上昇・呼吸が早くなる、免疫が落ちるは変わっていないことを説明され、太古はそれでもよかったが、現代では骨格筋を使って闘うわけにも逃げだすわけにもいかない、対人関係や仕事上の課題等といった新たなストレッサーが増えており、この身体の原始的な反応によって様々な弊害が出てきていることを説明されました。    

健康を守るヒント
最後にストレスを解消するためには、どうすればいいのかについて講師先生から説明がありました。
1.骨格筋を使う
私たちの身体はそもそも骨格筋を使うことを前提とした仕組みになっているので、運動することによってストレスにあった際の骨格筋の活動を解消するということです。現代は自動車があってエレベータもある便利な社会になっているので、意図的に運動しなければ運動が出来ない社会になっているそうです。
2.リラックスできる工夫をする
先生からは、交感神経を鎮め、副交感神経を高めることに努めるのも効果的だと仰られました。体を横にすると副交感神経がアップし、体を起こす(座るだけでも)と交感神経がアップするということがグラフと使って分かりやすく説明されました。
3.ストレッサーに対する認識を変える
最後に、ストレスに対してことさらに悲観的に大変なことだと思わず、身体の仕組みから起こるものだと認識し、気軽に考えることが大切だと語られこの日の講義を終えられました。

子どもたちに体のことを教える際に活用している臓器エプロンをお持ちいただきました。各器官が取り外し可能で、とても工夫されていました。。
講義終了後受講生の皆さんの熱心な質問に丁寧に答えていただきました。

参加者の声

  • 身近に感じられる語り口、内容で、とてもわかりやすかったです。
  • 子どもたちに授業する際に「ストレスは溜めない」「運動をする」ことが「生活習慣病」「健康な体になれる」と説明する具体的な話ができる知識となりました。ありがとうございました。より説得力のある、身近に生徒が感じられる授業を目指していく材料になりました。
  • 体の知識の重要性を再認識した。ストレッサーを理解出来た事が良かった。今後もアカデミックセミナーに参加したいと思う。
  • ストレスから生活習慣病になるなんて!しくみもわかってびっくりしましたが、ストレス解消法も教えていただいたのでこれから体も動かして気をつけていきたいと思います。
  • 自分の体の仕組について、あまり学習してこなかった。健康である為、内臓のありかをしる機会がなかった。とてもいい学習が出来ました。