みえアカデミックセミナー2017
鈴鹿工業高等専門学校公開セミナー
「モノを壊さず検査する ~非破壊検査の一般知識~」
の事業報告
「みえアカデミックセミナー」は県内の高等教育機関との連携で生まれた公開セミナーです。毎夏、三重県総合文化センターを会場に、各校1日程ずつ、選りすぐりの先生に少し高度な学習をわかりやすくお話ししていただいています。2017年度は新たに1校を参加校に迎え、全15日程開催しています。前身となる「みえ6大学公開講座」から既に20年を超え、「みえアカデミックセミナー」としては、14年目となります。今後も皆様に期待していただけるようなセミナーをお届けしていきたいと思います!!
第4回目の鈴鹿工業高等専門学校公開セミナーは、電子情報工学科 准教授 板谷 年也さんを講師にお招きし、モノを壊さずに検査する非破壊検査の必要性や、検査方法の種類・特徴について講演いただきました。

1.非破壊検査の必要性
「非破壊検査」とは、
・非破壊検査試験(素材や製品を破壊せずに位置や大きさ形状、分布等を調べる)の結果からそれぞれの基準に従って合否を判定を行うこと。
・非破壊検査と破壊検査の違いは破壊検査(強度や衝撃試験など)はその名の通り製品を破壊してしまうため、製品の価値がなくなってしまうので抜き取り検査しか行えないのに対し、非破壊検査を行っても製品の価値は変化しないので全数検査が可能。
非破壊検査が関連した過去の重大事故を紹介され、非破壊検査を行うことは長期的に渡って製品を利用し、廃棄物を減らすことで安全で安心、エコな社会を実現するために必要であると語られました。
2.一般的な非破壊検査の種類
非破壊検査は、コンクリートや伝熱管、橋、航空機等私たち生活に身近なところで活用されています。そして、非破壊検査の市場規模はだんだん増えてきているそうです。
工業分野で主に適用されている非破壊検査法
・目視試験
・浸透探傷試験
・渦電流探傷試験
・放射線透過試験
・超音波探傷試験
・アコースティック・エミッション試験
・赤外線サーモグラフィ試験
例えば、アコースティック・エミッション試験は欠陥発生中にすべての位置にある欠陥を検査することができるが、コストが高いなど各検査の検出出可能な欠陥の特徴と適用可能な材質、さらに各種コストの比較について説明がありました。続いて各主検査方法の長所と短所について述べられ、非破壊検査にはそれぞれの検査方法に長所と短所があり、この検査であればオールマイティに検査できるという正解がなく、検査する対象によって、検査方法を慎重に選択する必要があるのだと仰られました。

3.非破壊検査の今後の展望と将来
新しい材料や弱点が不明確な機械構造物への対応が非破壊検査には今後求められるし、これからの検査技師術として、マイクロフォーカスX線によるCT画像、二足歩行ロボットによる検査が今後活用されていくのではないかと仰られました。さらに、発生器、受信機が高度化されれば、あらかじめ対象物にセンサーの埋め込みが可能となり、状態把握のみで良くなる「検査から保守」の時代がやってくるのではないかと展望を語られました。
4.進化する鈴鹿高専の教育(ロボット関連)
現在鈴鹿工業高等専門学校で取り組まれている「ロボット人材育成事業」について、専攻科の改組や共通科目を新設したり、ドローンを活用した人材育成を行っていたりすることを紹介されました。会場に実際にドローンをお持ちいただき、どのように活用されているのかについても説明されました。残念ながら講義中の稼働は出来ませんでしたが、これからの鈴鹿工業高等専門学校のロボット人材育成が楽しみになった内容でこの日の講義を終えられました。


- 以前住んでいた近所に「非破壊」のことばが入った会社があり、前をとおるたびに何をしらべるところなのか不思議に思っていました。長年のなぞがとけた気分です。興味深い内容でした。
- 鈴鹿高専の教育内容を知る機会を与えていただいて有難うございました。
- ドローンを初めて(生で)見たので嬉しかったです。
- 物はどんどん作られて行くが、経年すれば必ず劣化する。悪い所を調べ、メンテナンスして行くことが重要になる。事故が発生する前に対応して未然に防ぐ、そのためには目視も含め各種検査が必要である。創るだけがコストでない何十年使うことのコストも大切である。
- 材料等のキズなどが内部にあるときはいろいろな試験方法にてわかる。表面は目視でもわかる場合があることがわかった。