第63回名盤を聴く エルンスト・ヘフリガー特集の事業報告
講座ボランティア企画 「第63回 名盤を聴く」は、ドイツ語圏屈指の名テノール、エルンスト・ヘフリガーを特集しました。
スイスの風光明媚な山村ダヴォスに生まれたエルンスト・ヘフリガーは、チューリヒ音楽院を卒業後はまずコンサート歌手としてデビューし、チューリヒ歌劇場でも活躍。’52年にはベルリン・ドイツ・オペラに迎えられて第1リリック・テノールを’74年まで務めたほか、欧米の主要歌劇場でも、得意としたモーツァルトの作品を中心に、その名唱で聴衆を魅了しました。 大の親日家で、’80年から最晩年まで、草津国際音楽アカデミーでたびたびマスター・クラスを指導しました。また日本の歌曲をドイツ語訳で歌ったCDを発表し、的確な解釈と年齢を感じさせない美声で大好評を博しました。
今回のプログラムは前半に若き時代の『バッハ受難曲』やベートーヴェンの交響曲を、後半に73歳の時の来日公演時の際、日本の歌曲をドイツ語で歌唱する貴重な映像などを鑑賞しました。参加者の方たちも、ドイツ語の歌詞カードを指で追い、日本語訳を目で確認しながら、音を耳で聴き…と、様々な感覚を駆使しておられました。また、’93年に愛知芸術文化センターでの公演を鑑賞された方がヘフリガーのサインを披露してくださる一幕もありました。奇しくも、エルンスト・ヘフリガーの誕生日は7月6日。七夕の午後、この「名盤を聴く」がスイスの空の上にも届いたのでは?と思われるような、密度の濃い時間となりました。

第63回プログラム ~エルンスト・ヘフリガー特集~
1.J.S.バッハ:マタイ受難曲 BWV.244 から 1)合唱 2)レチタティーヴォ(福音史家、イエス) 3)コラール 4)レチタティーヴォ(福音史家) 5)合唱 6)レチタティーヴォ(福音史家) 7)合唱 8)レチタティーヴォ(福音史家、イエス) 9)レチタティーヴォ(テノール) 10)アリア(テノール) 福音史家:エルンスト・ヘフリガー(テノール) イエス:キート・エンゲン(バス) 指揮:カール・リヒター ミュンヘン・バッハ合唱団、ミュンヘン・バッハ管弦楽団 (収録:’58年6~8月 ヘルクレス・ザール/ミュンヘン)
2.ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125「合唱」第4楽章 から ソプラノ:アグネス・ギーベル コントラルト:マルガ・ヘフゲン テノール:エルンスト・ヘフリガー バス:グスタフ・ナイトリンガー 指揮:オットー・クレンペラー ニュー・フィルハーモニア合唱団 ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 (実況収録:’64年11月8日 ロイヤル・アルバート・ホール/ロンドン)
3.モーツァルト:歌劇「魔笛」K.620 第1幕 から タミーノのアリア:お前の魔法の調べはなんと力強いのだろう! タミーノ:エルンスト・ヘフリガー 指揮:フェレンツ・フリッチャイ ベルリンRIAS交響楽団 (収録:’54年6月 イエス・キリスト教会/ベルリン)
4.ヘフリガー/日本の歌曲を歌う(ドイツ語訳による) 1)インタヴュー 2)この道 北原白秋 詞 山田耕筰 曲 3)待ちぼうけ 北原白秋 詞 山田耕筰 曲 4)故郷 高野辰之 詞 岡野貞一 曲 5)雪の降るまちを 内村直也 詞 中田喜直 曲 6)花 武島羽衣 詞 滝廉太郎 曲 7)荒城の月 土井晩翠 詞 滝廉太郎 曲 テノール:エルンスト・ヘフリガー ピアノ:イリナ・ニキーティナ (実況収録:’92年11月18日 王子ホール/東京)
―――― 休 憩 ―――― 5.シューベルト:歌曲集「美しき水車小屋の娘」D.795 テノール:エルンスト・ヘフリガー ピアノ:エリック・ヴェルバ (収録:’69年)
- マタイ受難曲での美声はすばらしかったです。日本の名曲をドイツ語で歌われたこと、しかも73才の高齢にしての公演、たいへんよかったです。
- いつも内容の説明と演奏、映像の組み合わせであきることなく時間が過ぎ、楽しい名盤の日でした。次回も楽しみにしています。ありがとうございました。
- すてきな歌声でした。私も歌ってみたい、合唱を楽しみたいと思いました。