【妖怪の誕生 ―『百鬼夜行絵巻』の謎を解く】の事業報告
今回のまなびぃすとセミナーは、関西学院大学文学部教授・西山克さんをお迎えし、『百鬼夜行絵巻(ひゃっきやぎょうえまき)』大徳寺真珠庵本に描かれた様々な妖怪にまつわるエピソードや大徳寺ゆかりの僧・一休宗純にいたるまでたっぷり語ってくださいました。
子どもたちは「みんな妖怪のせいなのね」と言っている昨今ですが、もとは「妖怪」(ようけ)と呼び、凶事の予兆となるような不気味なコトを指しました。現代の私たちが考えるような「妖怪」(ようかい)の概念は近世後期から定着してきたそうです。また、諸本出回っていた『百鬼夜行絵巻』の中で、現存唯一・室町時代、土佐光信作と伝えられる大徳寺真珠庵本より特徴のある登場人物(?)について紹介がありました。西山さんはやわらかい語り口で、「学生が作ってくれたんですよ」と動物の妖怪の画像を動かしたりと、時にユーモアを織り交ぜながらお話しされます。参加者の視線はスクリーンに釘付け、熱心にメモを取られている方も多くみえました。
通常、絵巻物は右から左へ描かれ、時間軸が進んでいくそうです。しかし、「化粧する女たち」は、他の登場人物とは差異化され、次の行動への準備である「化粧」をしながら期待に胸を膨らませる様子がいきいきと表現されています。「後程この絵についてまた触れます」との予告があり、ここで10分の休憩です。
後半では大徳寺ゆかりの僧、一休宗純についてのお話がありました。アニメでは、将軍さま相手にとんち対決をしていましたが、実際は、後小松天皇を父とし、当時の禅林を鋭く批判していたそうです。しかし、その一休が、批判の言葉を飲み込んだ相手がいる、そして、その相手は「化粧する女たち」の中の1人ではないかというのが西山先生の説です。ドラマチックな展開に引き込まれ、あっという間に時間が過ぎていく講座となりました。

- 西山先生のユーモアある語りに引き込まれました。
- 謎解きがとても興味深かったです。
- 資料をもとにとても分かりやすく解説していただき、興味深い講座でした。有難うございました。
- 一冊の良質の推理小説を読んだ後のような心持ちです。
- 大学で江戸狂歌からみる化物について学んでいるのですが、絵から化物をみるという観点が非常に興味深かったです。
- 妖怪文化について、全く知らない視点からのお話が伺えてとてもよかったです。