まなびぃすとセミナー
ユネスコ無形文化遺産「世界が認めた和食文化」の事業報告

開催日
2016年2月21日(日曜日)
開催場所
三重県文化会館 レセプションルーム(三重県総合文化センター内)
講師
熊倉 功夫さん(静岡文化芸術大学 学長)
参加人数
199名
参加料金
無料

 2013年12月に「和食―日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産条約に登録され、今回のまなびぃすとセミナーでは、登録のキーパーソンである熊倉 功夫さんをお迎えして開催しました。会場は満員で、みなさんの「和食文化」に対する関心の高さがうかがえました。

 はじめに、和食文化が世界遺産に登録された経緯や、古来より日本人は自然を尊重し、その味を生かすことで育まれた食文化の歴史を、絵巻物を見ながら解説されました。
 和食の原点は平安時代の庶民の家庭料理の「一汁三菜」ではじまり、鎌倉期にはお膳の数が増え、食べきることのできない量の食事を提供し、もてなしをする「本膳料理」となり、今でも婚礼の引き出物として名残があるとのこと。そして、桃山時代に料理の革命ともいうべき茶の湯文化がはじまり、懐石料理が生まれました。懐石料理とは食べきることができる量の食事を提供するのが原則で「一汁三菜」の料理でもてなすことに戻り、今の和食の原形になるそうです。

 懐石はできたてを都度運ぶというのも特徴で、西洋料理のコースサービスよりも早い時期に確立されました。さらに、お祝いや季節感などの亭主側のもてなしの気持ちを、料理で伝えるのも特徴だそうです。
 また、「和食文化」を知る上で「何を食べるのかではなく、どうやって食べるのか」が大切で、日本独特の「箸」や「お椀」にまつわるお話を興味深くされました。
 最後に、近年の和食離れで「和食」の存続が危機的状況だと訴えられ、先人からの知恵が凝縮した「和食」を次の世代に引き継ぐ大切さを「出汁」の味を子ども達へ教えている活動を例にお話され、締めくくられました。
 会場は、興味深いお話に感嘆や、時に笑い声もあり、みなさん知的好奇心が刺激されたようでした。

参加者の声

  • 和食が日本の精神文化に根ざした大変貴重なものであることが判った。子どもたち次世代の日本に和食を残したいと思う気持ちが強くなりました。
  • 熊倉先生のお話はとてもおもしろく、一汁三菜が基本とのお話よくわかりました。又、子供をターゲットに給食を和食中心にすることが日本食を絶えさせない事と思います。
  • 日本の伝統文化をむずかしく考えずに家庭で美味しい日本食を作っていただきたいと思います。