みえアカデミックセミナー2015
移動講座(名張市会場)
三重大学公開セミナー
「悪党と忍び―名張の事例を中心に」の事業報告
鎌倉時代中期以降、荘園制的秩序に抵抗した悪党と呼ばれる人々が畿内周辺で見られるようになり、年貢対捍や資材奪取などの行為を行いました。東大寺領黒田荘の悪党は日本で最も知られた存在ですが、そうした悪党の中から忍びが登場したと考えられます。悪党と忍びの関係について具体的史料に基づいて考察し、伊賀地域で忍びが著名となった理由についてお話しいただきました。


現代では一般的に悪人を意味する「悪党」ですが、この当時の最大の社会問題であった「悪党」は山賊や強盗など社会秩序を乱す者たちとは趣を異にしており、山僧・神人・御家人・有力名主などあらゆる階層の者が含まれていたそうです。「悪党」の姿、そして名張の黒田荘荘官大江氏が一般荘民を巻き込み東大寺支配に抵抗し,やがて悪党と呼ばれた経緯について文献を読み解き、詳しく解説されました。更に、敵に討たれないための護符の書き方や使い方など呪術的な兵法書が修験系寺院で作成されて伝授されたこと、のちに悪党の系譜をひいた忍びの活躍に繋がる変遷について説明され、兵法と忍術修験道の修行の地であり、忍者の修行場があったとされる名張にまつわる興味深いお話に、参加者の皆様は熱心にメモを取り聴き入られていました。
- 悪党の起源と忍びの役割が理解することができた。
- 忍術(忍者)のルーツを知ることができ良かった。
- 忍びの変遷、何故この地域なのかがわかりやすく、解説してくださりよかったと思う。
- 歴史、名張の土地柄が身近に考えられました。昔の地名と今の地名が、ほぼ近く、変わらず残り、名残があるのを感じました。おもしろかったです。