ミエ・アート・ラボ2014

開催日
2015年2月14日(土曜日)から2月15日(日曜日)
開催場所
三重県文化会館 小ホール、ワークショップ室、第1・第2リハーサル室
参加者数
のべ175人
受講料
無料
後援
三重県教育委員会

アートを考える。アートと繋がる2日間。

三重県総合文化センターが進める新しい取組み「アート教育」の普及を目的に、アート、教育の双方の関係者が集い学びあう研修会を実施しました。今回のテーマは「ワークショップ」。最近、さまざまな分野で使われている学習スタイルの一つです。音楽、演劇、美術という異なる分野に分かれ、小学生(子ども)を対象とした多様性、共生を学ぶプログラムを2日間で開発・発表するという実験的、かつ本格的な内容です。県内はもちろん、遠くは福井県や兵庫県、和歌山県からの参加もあり、関心や意識の高さが伺えました。

基調提案 ワークショップで大切なこと  

吉野さつき(愛知大学)/大月ヒロ子(ミュージアムエデュケーションプランナー)

各コースに分かれる前に、まずは参加者全員が「ワークショップ」という手法についての基礎知識に加えて、多くのワークショップに見られる共通した視点や考え方などを、国内外の先進事例の紹介を交えながら学びました。

基調提案写真
基調提案

開発ワークショップ【音楽】 武石みどり(東京音楽大学)

手・足・頭など身体の部位を使ったボディパーカッションや音の出る楽器(打楽器)を一人1台使っての即興演奏など、音楽が得意でない方でもリズムや音で楽しめるプログラムを体験しました。次に、東京音楽大学の学生たちがアシスタントに入りながら、参加者同士で話し合い一つの“流れ”を作っていきました。途中、美術グループとのコラボレーションのアイデアが浮上し、音楽グループから提案したところ「いいね」と快諾。最終日の発表では分野を越境した協働が生まれました。

開発ワークショップ(音楽)
開発ワークショップ(音楽)

開発ワークショップ【演劇】 南波 圭(俳優)

いくつかの演劇の手法を使ったワークショップを実施し、参加者は実際に体験をしました。参加者全員が発言できる場づくりから始まり、演劇の要素である『体』と『言葉』を使ったワークショップを行っていきます。と同時に、それぞれのワークショップの意味やねらいを伝えていただきながら進んでいきました。2日目は前日の体験から派生したそれぞれのアイデアを出し合い、発表の場で行うワークショップの進行や分担を、直前までねばり作り上げていきました。

開発ワークショップ(演劇)
開発ワークショップ(演劇)

開発ワークショップ【美術】 大月ヒロ子(ミュージアムエデュケーションプランナー)

講師オリジナルの廃材を美しく撮影した「H A i Z A iC A R D /廃材カード」を使い自己紹介を行いました。次に、参加者がそれぞれ家から持って来た捨てられないモノを床に並べ、そのモノについてのストーリーを皆に伝えていきます。すべてのモノを写真に収めた後、3グループに分かれ、写真を並べかえながら架空のストーリーを創り、話し合いました。およそ不要と思われていたモノたちに新しい意味や思いがこめられていきました。

開発ワークショップ(美術)
開発ワークショップ(美術)

先進ワークショップ【ダンス】 新井英夫(体奏家)

体奏家の新井英夫さんをお迎えし、「野口体操」をベースとした身体表現ワークショップを実施しました。あらゆる表現の基本となる「身体」を使ったワークショップです。液体と固体の中間にあたる私たちの身体(コロイド)をほぐし、ゆるめていくことや、重力を意識した身体の動きなどをユニークな素材や音も取り入れながら学んでいきました。

先進ワークショップ
先進ワークショップ

フリンジプログラム ZENCAFE 油田 晃(NPO法人PANみえ)/新井英夫(体奏家)

カフェマスターに、NPO法人PANみえの油田晃さん、ゲストに体奏家の新井英夫さんをお迎えし、アート、教育、ワークショップをテーマに、参加者のみなさんとのフリートークの場を設けました。

ZENCAFE
ZENCAFE

開発ワークショップの発表とトークセッション

音楽、演劇、美術コースが2日間かけて開発した成果を相互発表しました。その後、関わっていただいた各分野の講師の方々も加わって、参加者全員で感想や気づきなどを共有しました。参加者同士のつながりが強まる、有意義な2日間となりました。

発表

参加者の声

  • 参加させていただき、楽しく様々な人と交流できいい心地の2日間でした。
  • ワークショップを行うのに大切なこと目的を伝えることが大切だと分かりました。
  • 仕事の都合で開発プログラムに行けないのですが、そのことが大変残念に思わせる内容でした。
  • すべてのプログラムを通して、「個性」から生まれる自由な発想、それが集まることによって、さらに生まれる可能性を身を以て実感しました。
  • 五感を使う丸二日間、人間が生み出す力は本当に素晴らしいと思います。ワークショップによって、またその基本を思い出させていただきとても楽しかったです。これを人にも伝えたい!(音楽)
  • はじめて演劇のWSに参加しましたが、非常によかったです。ハードルが高いと思っていましたが、やってみると体ひとつでできるし、技能や技術もいらないので、逆に入りやすいかもしれません。多様性、コミュニケーション、自己肯定などを伝えるツールとして、非常に有効だと感じました。(演劇)
  • 自分が捨てようと思ったものから、写真をとることで美しい部分、見方の発見、そしてグループで物語をつくることへと広がる、自然とチームワークも生まれるという体験が充実していました。今後の企画にきっと生かしていきます。(美術)