注意2020年10月に発行された「いきいき生涯&ゆうゆう学習」34号のインタビュー内容をそのまま掲載しています。

インタビュー りょうがん所長のこの人に聞きました!
ヴォーカルアンサンブル《EST》音楽監督・指揮者 向井正雄さん

インタビューの様子

国内外のコンクールで数々の賞を受賞されている三重県を代表する合唱団「ヴォーカルアンサンブル《EST》」の創設者であり、音楽監督・指揮者でもある向井正雄さん。
令和2年度からは、三重県生涯学習センターの「文化体験パートナーシップ活動推進事業」の合唱指導の講師として参加していただくことになりました。
現在お勤めされている、松阪工業高校に三重県生涯学習センター所長の長島りょうがんがお伺いして、音楽の話に花を咲かせました。

  


所長:向井先生はいつから歌を始められたのですか?

向井さん:高校2年生の時に合唱部に誘われました。
その当時はフォークギターが流行っていて、私は作詞作曲の真似事のようなのをやってて、同級生たちと放課後の教室でギター片手に歌っていたんです。それを聞きつけた合唱部の人たちが、私をスカウトしに来たのです(笑)。
音楽室に連れていかれると、今度はそこにいた合唱部OBの芸大生が、「君の歌を編曲して合唱曲にしてあげよう。」なんて嬉しいことを言ってくれて…。
これは入らなきゃと思ってしまったんです。作戦にまんまとハマってしまいました。きっかけはそんなんですね。


所長:出身高校はどこだったんですか?

向井さん:伊勢高校です。顧問の先生が先日亡くなられて追悼コンサートをさせていただいたんです。元々オーケストラのヴァイオリンをされていた方で、ものすごく音楽作りが丁寧で生徒にわかりやすく説明してくれました。僕はそこに感激して。みんなで芸術に向かっていくのが楽しかったです。


所長:そこから向井先生の合唱人生が始まったんですね

向井さん:その時は高校だけのクラブだと思っていたのですが、三重大学に入って学生指揮者に選ばれてコンクールを目指すことになったんです。そうするとがんばらなきゃいけないというみんなの期待を背負って。その当時部員は63人くらいいましたね。そうしたらどーんと全国大会に行けたんですよ。その時の喜びが今までの自分を支えてるいるような気がします。
音大を出ているわけではないので、やるたびに勉強です。いろんな合唱指揮者を頼ったり、講習会を受けに行ったり、海外に行くアドバイスを受けたり、一生勉強しながら指揮をしていくという感じです。


所長:大学を卒業後は学校の先生をしながら、『ヴォーカルアンサンブル《EST》』を立ち上げられたんですね。
今は、コロナの事もあって練習をするのも大変じゃないですか?

向井さん:現在(2020年6月24日時点)はコロナ禍であまり活動できていないですね。
例年ですと秋には三重県総合文化センターでのコンサートを開催しているのですが、準備も十分にできない中で開催できるのかという意見もあります。僕としては地域貢献もあるし、きっと待っててくれる人もいるからやりたいという気持ちが大きいんです。そしてやるからには全員でやりたい。団員同士のつながりも大事ですしね。でもコロナの事があるからホンマに色々としんどいです。


所長:今少しずつ公民館とかで合唱が始まっているのですが、「やっと歌えてよかったわ」とかみんな幸せそうに帰っていくんですよね。やっぱり歌の持つ力というのは大きいですからね。

向井さん:歌というのはそうですよね。
歴史的にみても、ベルリンの壁が破られた日もドイツの人たちはみんなで『第九』を歌ったとかね。第二次世界大戦下の牢屋の中で書かれた曲が今は名曲として世界で歌われているとか、苦しいときほど作品は生まれるのですよね。


所長:どんな子どもたちや大人たちにも、音というのは分け隔てなく心にはいってくるんでしょうね。

向井さん:飯南にある20数年前に廃校になった小学校で、ある音楽の先生が子どもたちに歌を作って一緒にギターで弾いていたそうです。その先生は若くして亡くなられたんですけど、今は親になった当時の小学生みんながその歌を歌えるんですよ。そしてその親の子どもも歌えるんです。今、飯南で教師をしている僕の後輩がそのことに感動して、「飯南高校でその曲を合唱にして歌ってくれないか」と相談があったんです。
そして松阪工業高校の合唱部を連れて行ってその曲を歌ったら、そこに報道機関がきて町の大きな話題になって、今度は次の年に中学生全員で合唱をやるということになって、それも成功して、という風に地域の歌が歌われ続けていったんですね。合唱が思い出にもなるしそれで地域が一つになるという、あれは僕も嬉しかったですね。
そういう歌があちこちにあるとしたら、まぁ微々たる点と点ですけど、その点が少しずつつながって何十年かしたときにヨーロッパみたいに合唱が当たり前のようになるといいなと思います。


所長:そういう想いを夢いっぱいの子どもたちに伝えてほしいし、僕ら大人も知りたいです。
ぜひ先生の力をお借りして、音楽のもつ感動を広げて下さい!

向井さん:はいぜひやらせてください。楽しみですね。


長島所長がお話を伺いました
文化体験プログラムでの様子

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