平成21年度 男性講座
「自立ってなんだろう?!~みんなで昼ごはんでも作りながら考えませんか~」

開催日
2009年5月31日(日曜日)
開催場所
三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」  1階 生活工房
講師
南野 忠晴さん (大阪府立成城高等学校家庭科教諭 NHK高校講座「家庭総合」講師)

 この講座では、定年世代の方を対象に、男女が自立したくらしを送るために必要なことを講義とグループワーク、調理実習を通して学びました。
 講師の南野忠晴さんはもともと、高校で英語の教諭をされていましたが、人生全般を教えることができる教科として家庭科の教員免許を取得され、家庭科の教諭となられました。

講座の様子

 講義では、まず「今回どうして受講を思い立ったか」の質問から始まりました。参加者は50代から60代を中心にした方々。受講動機は、配偶者の方から「私になにかあった時にどのように生活していくの?」との問いかけを受け、もしもの時に備えて参加された方が大半を占めていました。

 グループワークでは、“私の大切なもの”ということで、これからの人生で大切と思うことや人などを紙に書いてもらい、周りの状況が変わり何かを諦めなければいけない場合、何からあきらめていくか、という設定で徐々に減らしていきました。最後に1枚だけ残ったものを、なぜ、それを残したのか、それぞれに理由を発表してもらいました。「お金、最後に頼れるのはお金だから。お金がないと何もできないから」「健康。お金はなくても、体さえ元気なら何とかなると思う」「話し相手。話をする相手がいてこそ生活に張りがでる」「妻。永年連れ添った相手であり、自分のことを一番わかってくれている」 どの紙を破るときが辛かったか?の質問には、「家族を破り捨てるとき、妻か子どもかで迷った」「家族かお金かで迷った」「家族か健康かで迷った」など様々な意見が出ました。

調理中

 調理実習では、“自分の空腹は自分で満たしましょう、また家族の分も作れるように”を目標に、2人1組で調理をしました。初めて包丁を握った方もいましたが、皆さん真剣な表情で調理に取り組んでいました。焼きそばとスープ、和菓子の水無月を作りました。皆さん、助け合って作ったお昼ご飯を、仲間と楽しそうに食べていました。 

講座を振り返り

 最後に講師の先生から―自立とはなにか?
 自分が一番大切にしたいことを大切にできるということ。一番大切にしたいことを大切にできなければ生きている意味がない。 自立はそれを助ける手段です。自分でできることが多いということは、人に頼らずに済むので、自分でなんとかできる可能性が高まります。助け合ったり協力し合える人を増やせば、自分が調子の悪い時に助けてもらえる可能性が出てきます。趣味でも人でも一つのものにこだわらず、できるだけ多くのものに挑戦しましょう。何かがダメになっても別のものが支えとなってくれます。

 参加者の方からは、「料理に対するアレルギーがなくなり、『生きる』手段であると思いました。これで生きる自由度が増しました」「料理の実習で一緒に調理してくれた方がとてもよくしてくださり、大きな収穫を得ました」との声をいただきました。今後の「自立」を考える上で、よい機会としていただきました。

南野 忠晴 さん

大阪府立成城高等学校家庭科教員/
NHK教育テレビ高校講座「家庭総合」講師
1958年大阪府生まれ。1981年大阪府立高校の英語科教員となる。
1992年約20名の仲間とともに「家庭科教員をめざす男の会」を結成(現在は活動停止中)。
1993年大阪府の教員採用試験を家庭科で再受験、1994年度より家庭科を担当。
2003年からNHK教育テレビ高校講座「家庭総合」講師としてテレビでも活躍。教員免許(英語・家庭科・福祉)、ヘルパー2級。

<共著> 「はじめて語るメンズリブ批評」(蔦森樹編)東京書籍 1999年
     「教育とはなんだ」(重松清編著)筑摩書房 2004年