平成21年度 女性のための自己尊重トレーニング
「女性のための 自己主張トレーニング」とともに、毎年大人気のこの講座。今年も定員24名のところを倍以上のご応募があり、抽選となりました。
「トレーニング」というとなにやら厳しそうですが、円座になって自分自身やお互いの気持ちを確かめながら進められていくので、受講生一人ひとりの心にじっくり届くメッセージが満載です。好評のうちに全5回が終了しました。
“わたし”を見つめなおす

「いつも人の都合にふりまわされている日々がしんどい。自分を大切にして生きていきたい。でも、果たさねばならない役割もあるし、世間の目も厳しい。いったい自分を大切にするってどうすればいいのかしら…?」そんな思いで「自己尊重トレーニング」に申し込む方は多いのではないでしょうか。講師の赤澤ヒロ子さんは、「自己尊重とは要するに“わたしの気持ちを大切にする・わたしの幸せは自分で決める”ということです」と言います。
社会的な環境や規範は、「こうあるべき」というさまざまな要求を“わたし”につきつけ、“わたし”もいつのまにかその要求を自らのものとして自分を抑圧してしまいます。女性は特に情緒的なケアをする役割を期待されがちなので、ついつい自分の感情や欲求は後回しになり、いつも他の人の要望を一番にする、という状態に慣れっこになりやすいのです。そうすると、いざ自分を大切にしよう!と思っても、なかなかその“わたし”とはどういうものなのか、“わたし”はいったい何を欲しているのか、がわかりません。
講座では、まずそのような現状分析をふまえてから、さまざまなワークを通して、普段抑えつけたり見過ごしたりしてしまいがちな自分自身の感情に目を向け、ありのままの“わたし”を見つめなおす作業を積み重ねていきました。

ワークでは「“わたし” は一日をどんな感情の変化を持って過ごしているのか」「“わたし”はどんなことが実は得意なのか」など赤澤さんの出すテーマに沿って、じっくり一人で考えたり何人かで話しあったりしていきます。日頃は仕事のことや家族のことでいっぱいの頭が、次第に自分自身のことに向かって働き始めます。五感を使って自己尊重感を養うワークもあります。静かな音楽の流れるなかでゆったりと深呼吸をしてみたり、隣のひとの背中にいたわるようにそっと手を当ててみたり。ただそれだけなのに、なにかいつもとは違う感覚がよみがえるようで、受講生はそれぞれにかたくなっていた心とからだがほぐれていくのを実感していました。
これからの“わたし”をつくる
とはいっても、全5回という短い講座の中で、なにかが必ずうまくいくようになったり、すぐ楽になったりというわけではありません。赤澤さんは言います。「すぐに今の自分や周りの状況を変えることは無理ですよね。でも、少しずつの変化を積み重ねていけば、3年、5年、10年と時が流れていく中で、きっと“わたし”が大きな変化をつくり出したことに気づくでしょう。しんどさは同じ思いの仲間たちと分かち合い、支え合っていくといいですね。身近に仲間がいなければ、ぜひフレンテのような場所を利用して。きっとあなたはひとりぼっちではないはずですよ」。そしてこの講座のあと、受講生有志のグループ「紫陽花(あじさい)」が発足しました。定期的にフレンテに集まり、“わたし”を基点に様々なテーマで語り合い(CR)を続けています。
赤澤 ヒロ子 さん

ウィメンズカウンセリング名古屋YWCA
ウィメンズカウンセラー
1994年名古屋YWCAに女性のためのこころの相談室「ウィメンズカウンセリング名古屋YWCA」を設立。カウンセリング、サポートグループ活動、女性のためのプログラム企画、開発に取り組む。
- 長いことやっていなかった私自身の楽しみを思い出しました。
- 悩んだり迷ったりするのは自分だけではない、という感じを得ることができました。
- これからは自分の考えを格好つけずに素直に表現してみようと思う。
- 「自分を認める」ことから始めようと思っています。
- 自分一人では気づきにくい点に気づくことができた。