開館15周年記念事業 フレンテみえファンファーレ2009
堀田力つとむさん講演会「60からの生きがい人生」

開催日
2009年5月6日(水曜祝日)
開催場所
三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」 1階多目的ホール
檀上の堀田さん

 三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」の年度の幕開けとして、また、今年度は三重県総合文化センター開館15周年を記念して、堀田力さん(さわやか福祉財団理事長・弁護士)を講師にお迎えして、講演会を開催しました。今回の講演会では、1人ひとりが個性と能力を発揮していきいきと輝いて生きられる男女共同参画社会の実現を目指して、“高齢期の生き方”に焦点を当てました。また、第二の人生を生きがいを持って輝いて生きていくための秘訣をお話していただきました。
 講演会に先立ち、オープニングとして県内で活躍する「ザ・サークル」によるバンド演奏を行いました。参加者みんなで歌い、大いに盛り上がったオープニングとなりました。
 
 
堀田さんの講演会のなかから、抜粋してご紹介します

ボランティア活動の様子

 音楽好きの人たちに老人福祉施設を訪問するボランティアを紹介しました。発表の機会がないので、喜んで引き受けてくれました。演奏終了後、演奏者たちは、自分たちが訪問したことで喜んでもらったことに満足し、施設の人たちは人たちで演奏者が喜んで帰っていったことを喜んでいました。どちらがボランティアかわからないが、双方が喜んだということが大事。ボランティアはお互いに気持ちが通じ合うということが大切です。

退職された男性の話

 私がいた公務員の世界は競争社会で、お互いが助け合うという精神があまりなかったように思われます。ある退職された方が、退職後、家族から家にいても邪魔だから外出してと言われ、図書館や公園など色々と出歩いたが、どこも目的があって来ている人ばかりで自分の居場所を見つけることができず、最後にボランティアしかないと、訪ねてこられました。自分の好きなことをやってみればいいと勧めましたが、何をすればいいか分からないと言われました。会社に注力しすぎたばかりに、退職後も地域とのつながりが希薄になり、地域に居場所がなくなってしまっていたのです。女性はその点大丈夫。もともと地域とのつながりがある人が多いし、家にいてもやることがあるからです。
 やりたいことが見つからなければ、青春時代に熱中したものから始めてみると長続きします。

 趣味も習っているだけではつまらない、人に認めてもらうことが大事です。自分がやった事で、誰かが喜んでくれる、これがまさに人生の生きがいだと思います。自分の特技を活かして、できることを探すことが大事。お金を儲ける事を考えるより、自分にできる事で人の役に立つことができるなら、第2の人生に生きがいがあります。お金を貯めてもあの世にまでは持っていけないし、それよりは誰かに何かをしてあげた方が人生を豊かにできると思います。
 小さな事でも、少しでも、人のためになることをすることが人生を有意義に過ごす秘訣です。

対談の様子

 講演会終了後に、堀田さんと松井真理子さん(四日市大学教授・NPO法人市民社会研究所代表理事)との対談を行いました。松井さんは、団塊世代を中心とした社会貢献型人材バンク「人材ポケットよっかいち」を運営されており、三重県の現状などを交えてお話をしていただきました。また、質疑応答の時間には、参加者から「30年前にアメリカで暮らした経験があるが、その当時からアメリカでは職業での男女の固定がなかった。最近日本でもようやく男女共同参画が広がってきたが、堀田さんも男女共同参画を意識して活動されているのですか」といった質問が出されました。堀田さんは、「男女がそれぞれ自分の好きなことができる社会をつくることが大事。アメリカでは、それができる基盤がある。ボランティアの世界は1人ひとりが好きなことをやる世界なので、特別に男女共同参画を意識しなくてもあるべき姿になっていくと思う。男女に関わらず、したいと思ったときに自分のやりたいボランティアができることが大事。それを受け入れられる温かい日本社会を作っていくことが大切です」とお話されました。

堀田 力 さん

堀田さん

1934年京都府生まれ。京都大学法学部卒業後、検事として、大阪地検特捜部や東京地検特捜部等を歴任。東京地検特捜部時代には、ロッキード事件を担当。法務大臣官房長等を歴任後、退職、さわやか法律事務所及びさわやか福祉推進センター(現 さわやか福祉財団)開設。
高齢社会NGO連携協議会(高連協)代表、民間法制・税制調査会座長、社会保障審議会委員、中央教育審議会委員、認知症になっても安心して暮らせる町づくり100人会議議長、東京の地域ケアを推進する会議委員長、日本プロサッカーリーグ裁定委員会委員長ほか。その他、教育課程審議会委員、中央社会福祉審議会委員、年齢にかかわりなく働ける社会に関する有識者会議委員、高齢者介護研究会座長、政府税制調査会委員、東京都社会福祉協議会会長ほかを歴任。著書「挑戦!」「中年よ、大志を抱け!」等

松井 真理子 さん

松井さん

山口県生まれ。京都大学法学部卒業。自治体職員、NPO専従職員を経て、2001年から現職。現在、NPO法人市民社会研究所代表理事、四日市NPOセクター会議議長。三重県収用委員会委員、三重県人権施策審議会委員、四日市市男女共同参画審議会委員長など公職多数。2007年1月団塊世代を中心とする社会貢献型人材バンク人材バンクよっかいちを設立。

ザ・サークル

ザ・サークル

1973年に結成。メンバーは、6人でバンジョー、ギター、フラットマンドリン、フィドル、ドブロ、ウッドベースといった楽器でアコースティックな響きを大切に演奏活動を続けている。アメリカのブルーグラスを始め、カントリー、高石ともやとザ・ナターシャセブンの曲やフォークソング、歌謡曲等自分たち風にアレンジし演奏。オリジナル曲もまつり博三重の「ミポラといっしょに」等いくつかあり、いろいろなイベントにも参加している。