女性のためのパワーアップトレーニングコース
~“弱気な自分”で終わらせない!~

開催日
2011年2月5日(土曜日)、12日(土曜日)、19日(土曜日)(3日間各日 午前午後の2回)。全6回
開催場所
三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」 2階 セミナー室A 他

 女性の社会進出は進んできました。とはいえ、実際に女性がリーダー役を担おうとすると、思わぬ苦労がありませんか?果たさねばならない役割を自分なりにがんばっているんだけど、どうもうまくいかない、壁に当たる…。女性はリーダーシップが苦手だからでしょうか?いいえ、決してそうではありません!
 2005年度から始まった女性の人材育成事業「フレンテみえ エンパワーメント・スクール」では、もう少しつっこんで学びたい!という女性たちのためのプログラムを毎年さまざまな切り口で提供しています。今年度は、閉塞感が強まる社会状況の中でも女性たちが自信を持って参画していけるように、それぞれが本来持つ力を磨く「女性のためのパワーアップトレーニング」を実施しました。

“弱気な自分”で終わらせない!

 実はフレンテみえでの「女性のためのパワーアップトレーニング」は今年度で4回目。フレンテみえでは唯一の有料講座にもかかわらず、毎回定員以上のお申し込みがあり、大好評をいただいてきました。これまで参加いただいた女性たちひとりひとりの熱意を思い、今回は副タイトルを「“弱気な自分”で終わらせない!とつけて全6回とたっぷりの構成にしました。そして今年も沢山のご応募をちょうだいしました。皆それぞれの場所でパワーアップを願いながらがんばっているんですね。

体験学習で納得のパワーアップ

 講師をつとめて下さったのは、中川和子さん(NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会所属フェミニストカウンセリング堺代表、フェミニストカウンセラー)。アシスタントスタッフの木村由美さんと24名の受講生たちと共に、講義やバラエティに富んだワークを織り混ぜながら3日間のプログラムを進めていきました。
 まずはワーク「世の中どうなってるの~女ばかり・男ばかり~」。小グループに分かれ、各人に渡されたポストイットに「女ばかりの場所」を思いつく限り書いて模造紙に出し合っていきます。「よーい、スタート!」中川さんが指定する短い時間内に、どんどんアイデアを出していくのも一つのトレーニング。クヨクヨ考えてあぐねているよりも、まずは頭と身体を動かしてやってみることの練習でもあります。正確でなくてもまずはよしとして、とりあえず数を出せば何かは見えてくるもの。さらにグループで力を合わせれば発想も拡がります。ここではどんな意見をだしても否定をされることはありません。「保育園」「スーパー」「バーゲン会場」「ランチ」…ははあ、いろいろありますねえ。では「男ばかり」のところは?「会社の管理職」「居酒屋」「議員」…。なるほどなるほど。次に出し合った内容についてKJ法を用いて分析していきます。すると社会の中がまだまだ性別役割分業になっている様子がくっきりと見えてくるのです。「このような社会に私たちはいるんですね。こういう世の中を変えていく視点をもってほしい。まずは自分の中から“プチ改革”をしていきましょう!」と中川さん。このワークが終わる頃には全く初対面の受講生たちもすっかり「同じクラスの友だち」のよう。お昼休みには三々五々集まってわいわいと昼食をとっていました。

講座風景

ジェンダー社会を生き抜くために

 このほかにも、建設的なコミュニケーションの持ち方や、新しいリーダー像のイメージなどを学んでいきました。でもこの講座が一般のビジネススキル講座と異なるのは、それぞれに女性が置かれた社会状況を踏まえた視点があること。特に職場などでパワーハラスメントなどの支配関係に陥らないための対策を考えるワークでは、皆がそれぞれの実体験に共感しあいながら、社会に根強く残るジェンダーバイアスにつぶされずに生き抜く方法を話しあい、会場は女性たちの熱い思いに包まれました。
 中川さんは言います。「この講座は“力をつける”のではなく、皆さんが本来持っている“力を引き出す”講座です。女性に社会は何を期待しているのか、そして私たちは何を経験しているのかを知って対処することはとても大事。性別役割意識の強い社会の中で自分を責めずに、自分を受容しながら自信を持って歩んでいきましょう」。受講生たちもみなその思いを新たに、最後のスピーチ演習を終え、互いに心からの拍手を送り合っていました。
 講座終了後には、受講生たちによる自主グループ「つのかくし」が発足。3月の再会を期して、またそれぞれの現場に戻って行かれました。

わたしの“プチ変革”のために

 とても熱い、ステキな講座でしたが、受講できたのは、残念ながら先着24名の女性たちだけ…。でも受けられなかった皆さんにも朗報です!
 このプログラムは、実は自分たちでもできるように本になっているのです。中川さんが代表を務めるNPO法人日本フェミニストカウンセリング学会所属フェミニストカウンセリング堺(http://www.fcsakai.net/npo.html)が『女性のためのパワーアップトレーニングガイド』(頒価1,000円)を発行しています。今回の講座で使ったワークの他にも、女性のエンパワーメントに役立つワークが各種紹介されていますよ。仲間を誘ってこの『ガイド』を参考にしながらワークをやってみるのもよいでしょう。また、このプログラム開発のもとになった、『女たちのパワーブック』(かもがわ出版、定価571円)もオススメです。かつては日本と同じような“男社会”でありながら今や男女平等達成率が最も高い国となったノルウェーで、やはり女性たちが「涙を力に変えて」自らのパワーアップを果たすために開発したテキストです。現題は『Women Can Do It!』。ぜひ、合わせて読んでみてください。そしてあなたの歩みをまた一歩確かなものにしていかれることを、フレンテみえスタッフ一同も応援しています!

中川 和子 さん

中川さん画像

NPO法人日本フェミニストカウンセリング学会所属 フェミニストカウンセリング堺 代表・フェミニストカウンセラー

行政の相談室で、女性の視点に立ってキャリアカウンセリングを行う。また女性のための自己尊重トレーニング、自己主張トレーニング、パワーアップトレーニングのファシリテーターを務める。
その他、子育てグループの心理教育に携わっている。

参加者の声

  • 多くの人の意見を聞けて勇気がわきました。今まで自分が感じてきたことをみんなも感じているんだという気づきがありました。
  • 弱気な自分”で終わらせない、というタイトルに惹かれて申し込みました。頑張って受講して本当によかったです。
  • グループでトレーニングをさせてもらって、少しずつ変わっていけるような気がします。今後に役立てていきたいです。
  • いろんなことに嫌気がさしてやる気をなくしていたけれど、この講座で大切なことを知りました。発見!!
  • 具体的に“支配”に対応することを学べてよかったです。黙っていないでリアクションを起こすことの大切さをあらためて実感しました。もっとコミュニケーションを学びたいと思います。