統計で見る三重の男女共同参画

開催日
2010年7月11日(日曜日) 
開催場所
三重県生涯学習センター 4階 中研修室
講師
中野 洋恵さん(国立女性教育会館国際研究室室長)、水落 正明さん(三重大学人文学部准教授)

 みんながいきいきと、その能力と個性を十分に発揮することができる男女共同参画社会。その実現のための第一歩として、統計データをもとに、国際的にみた日本の男女共同参画の状況、また、国内のさまざまな分野での男女共同参画の状況、そして、三重県はどのような状況にあるのかを学ぶ講座「統計でみる三重の男女共同参画」を開催しました。

 講師には、国立女性教育会館国際研究室室長の中野洋恵(なかのひろえ)さんと、三重大学人文学部法律経済学科准教授の水落正明さんにお越しいただきました。

 まず、中野さんから「統計で見る日本の男女共同参画」と題して、国際的な見地から日本の現状をお話いただきました。男女共同参画を統計でみることは、現状と問題が数量的に提示されることによって人々の意識を高めること、変革の必要性が明らかになることで政策立案者を説得する材料になる。また、政策と計画の実行を監視し、評価するためにも非常に重要なものであると、男女共同参画の視点をさまざまな統計に入れ込むことの必要性について、諸外国の現状も参考にしながら、日本の状況をお話いただきました。

講座の様子

 続いて、水落さんから、「統計で見る三重の男女共同参画」と題して、統計から見る三重県の現状をレクチャーいただきました。「フレンテみえ」が作成した『統計でみる三重の男女共同参画』リーフレットのグラフを元に、三重県の男女共同参画推進状況をデータから読み解き方をお話いただきました。例えば、M字型カーブ(女性の有業率を示すグラフ)をみると、三重県では結婚・出産で仕事を辞め、その後再就職するという女性が多いように見られ、M 字の谷(30~34歳)は全国よりも深くなっています。これは、結婚や出産で仕事を辞めなければならない環境が多いのか、意識の問題なのか。また、M字谷の右(35歳~)の数値は全国を上回っています。三重県は全国と比べ再就職しやすいのだろうか、それとも、働かないとやっていけない環境なのだろうか、など数字をいろいろな角度から読み解くことについて、数字のマジックや、グラフの見せ方など、「統計」の面白さについてもお話いただきました。

講座の様子

 学生から社会人までさまざまな年代の参加者が、メモをとったり、熱心に質問したりと、それぞれに新しい発見があったようです。

 アンケートには、「今まで意識していなかったことが、データでみるとよくわかった。」「三重県の現状を初めて知りました。今後の課題がわかりました。」「データの見方の大切さ、ただ数字のみを判断するのではなく、その背景を考える必要性を学べた」などのコメントが寄せられました。


統計リーフレット

三重県、全国の状況をデータで見るリーフレットを作成しました。平成23年度にはデータブックを発行予定です。7/11 講座後、データブック作成まで勉強会を開催しています。

こちらのページでご覧いただけます外部リンク

中野 洋恵 さん

 国立女性教育会館国際研究室室長
 専門分野・関心領域は、家族社会学、社会教育。担当テーマは、家庭教育・次世代育成のためのプログラムに関する調査研究、男女共同参画に関する統計の調査研究。 研究成果に、『平成16、17年度家庭教育に関する国際比較調査報告書』(2006年3月)『男女共同参画統計データブック2009』(2009年3月)がある。

水落 正明 さん

 三重大学人文学部准教授
 東北大学大学院経済学研究科博士課程修了。労働経済学、家族の経済学、社会保障論専攻。結婚、出産、男性の家事・育児など、家族に関する研究に取り組んでいる。財団法人家計経済研究所の「核家族の意識と実態に関する研究」プロジェクトで委員を務めた。論文:「夫婦間で仕事と家事の交換は可能か」(永井暁子・松田茂樹編『対等な夫婦は幸せか』勁草書房所収)など。