香山リカさん講演会
「自分らしく生きるための処方箋」
フレンテまつり2日目に開催!
会場の定員数を超えるお申込をいただき、モニターでの聴講席も設けての開催となりました。たくさんのご参加、ありがとうございました。
今、生きづらい人が増えています。生きづらさから解放され、「自分らしく」生きるためにはなにが必要なのでしょう?メディアや数々の著書で知られている香山リカさんをお迎えして、お話いただきました。
香山さんの講演内容から一部をご紹介します。

現代人はゆとりがない!
いわゆる「団塊世代」と呼ばれる方々が新社会人として社会に出た時代は、どんな仕事でも頑張れば認めてもらえて、誉めてもらえると言われていました。でも、今は違って、上司も自分のことでいっぱいいっぱい。部下のことを誉めて伸ばしたり、評価してモチベーションをあげさせたり、そういう心のゆとりがなくなっているようです。頑張っても評価されない、「まだまだ頑張りが足りない」「もっと頑張れ」と言われて頑張り過ぎてうつ病になる人も増えてきています。
今は本当にみんなゆとりがないんですね。ゆとりがないので周りが見えないし、相手も評価できない。自分も認められない。努力しても評価されない時代です。会社の上司と部下の関係しても、親と子の関係にしても、ゆとりがないと相手を誉められないし、思いやる言葉も出ないですよね。
親がハッピーじゃないと子どももハッピーな気持ちになれないですよね。まず、自分が相手を尊重できるゆとりを持つことが大事だな、と思います。
うつ病になる人が増えています。
私が精神科医になった当時は、ちょうど男女雇用機会均等法が成立した頃で、先輩の医師からは「これからはどんどん女性も社会進出して、暮らしやすい、生きやすい世の中になる。精神科医なんて、不要になっていく」と言われました。でも、どうでしょう。うつ病は特別な人がなるものではなくなり、精神科や心療科の病院はどこも混み合っています。
最近では、うつ病は本当に身近な病気になりました。多くの人がゆとりがなく、ストレスを抱えて生きています。
ゆとりを持つためにはまず、「自分を誉めること」です。でも、真面目な人ほど自分に厳しいのでうつ病になりやすいんです。
「井の中の蛙」でもいい。
うつ病にならず自分らしく生きるためには、まず相手とほめ合うこと。そして、自分を認めて、ほめる。思い上がりでもいいんです。「井の中の蛙」でもいい。「約束が守れた」だけでもいい。「今日を生きられた」だけでもいいんです。よくやった!と、有頂天になって自分を大いにほめて、ご褒美をあげるということが大事だと思っています。
自分を認め、相手も認める。
自分自身をほめて、ケアしてゆとりを失わないようにする。そうすることが、部下や子どもなど自分よりも立場の弱いものを含めて、他の人を尊重すること、いたわることに繋がります。
お互いに「ありがとう」と感謝の言葉をかけられる自分になりたいですね。

参加された方からは、「自分へのケアが、他者へのゆとり配りにつながっていくという話がすごくよかった。日常に取り入れていきたい」「自分らしく生きることが恥ずかしいことではないということがわかってよかった」「自分をほめて余裕を作って、家族や職場の人への思いやりを忘れないようにしたい」などの感想をいただきました。
香山 リカ さん

精神科医・立教大学現代心理学部映像身体学科教授。
東京医科大学卒。学生時代より雑誌等に寄稿。その後も臨床経験を生かして、新聞、雑誌で社会批評、文化批評、書評なども手がけ、現代人の“心の病”について洞察を続けている。専門は精神病理学だが、テレビゲームなどのサブカルチャーにも関心を持つ。著書「おんなはみんな『うつ』になる」「しがみつかない生き方―『ふつうの幸せ』を手に入れる10のルール」「くらべない幸せ~誰かに振り回されない生き方~」等多数。
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情報誌Frente vol.42
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