三重そうぶんシネマスクエア2012
3日間におよぶ映画祭の中でフレンテみえのセレクトの作品は9月17日(月・祝)に上映された有川浩原作・三宅喜重監督の「阪急電車」と我謝京子監督の「311:ここに生きる-In The Moment-」の2作品。「阪急電車」では254人、「311:ここに生きる-In The Moment-」では272人の来場者と会場の多目的ホールがほぼ満席となり、我謝京子監督による「シネマカフェ」も当日までに完売するほどの人気でした。特に「311:ここに生きる-In The Moment-」ではニューヨークより我謝京子監督に来日していただき映画上映の後に開催したアフタートークおよび、シネマカフェで来場者の方との交流が大変好評でした。
「311:ここに生きる-In The Moment-」の売上金の一部を「東日本大震災女性センターネットワーク基金」に募金しました。
作品内容
阪急電車
(2011年/119分)
始点から終点まで片道15分のローカル線、阪急今津線の電車内を舞台にした、有川浩の小説を映画化。乗客たちの目を通して、偶然同じ車両に乗り合わせた様々な女性たちの人生を映し出していく群像ドラマです。
311:ここに生きる-In The Moment-
(2011年/90分)
東日本大震災後を生きる女性たちのドキュメンタリー。女性の視点でドキュメンタリー映画を企画製作している我謝京子監督が、東北3県での取材をもとに震災後の女性たちの声を映像の記録として撮影。第24回東京国際女性映画祭にも出品された同作品は、現在世界各地で上映されています。
311:ここに生きる-In The Moment-我謝京子監督によるシネマトーク概要
<上映前に1分間の黙祷をおこないました。>
3月11日の大震災の日、私は前作「母の道、娘の選択」上映のため沖縄県にいました。そこで、テレビで災害の映像を見て、日本に残り取材をするか迷いましたが、NYに残した娘のことや仕事のこともあり、帰国しました。
「自分に何ができるのだろう」というおもいが日に日に膨らむ中、日本のあるテレビ局の女性プロデューサーからラブレターのようなメールをもらいました。「女性の視点での復興映画を作ってほしい」と。
連絡をもらって1週間も経たない内に、東北に行きました。前作「母の道、娘の選択」をお見せし、私自身がNYに渡ったことや『911』に被災したことなど自分をさらけだした上で、女性たちと座談会で語り合いました。その中で、「今の状況や一日の中でも変わっていく気持ちを記録に残してほしい」という女性たちの強いおもいを感じたのです。その後、現地を歩く中で知り合った50人以上の女性たちの声を聞きました。すばらしい女性たちとの出会いが続き、この映画が完成しました。
この映画には、ナレーションがありません。ナレーションがない方が観客と映画に登場してくださった方々が直接対話をすることができると思ったからです。実際にいろいろな方のお話を聴き、本当に力強い方が多く、やはり彼女たち、彼たちの声だけでつなげていきたかったのです。
今回の作品の取材で、また、『911』の取材でも聞こえてきた声があります。
それは「過去にはどうやっても戻れない。今できることは『今この瞬間をどう生きるのか』」ということです。皆さんが口々に言われた『今この時を大切に生きる』ということをタイトルに、また、英語で「In The Moment」としました。この映画を材料に私たちひとりひとりが復興のため、支援のために自分の得意分野で何ができるかを考えていただけたら、幸いです。
今、続編の取材をしており5年、10年後の姿を追っていきたいと考えています。ぜひ今回の作品と見比べてください。

我謝 京子監督プロフィール
1963年東京都生まれ。ドキュメンタリー映画監督。ロイターニュースアンカー。05年から映画監督としてドキュメンタリー映画『母の道 娘の選択』の制作に着手。ニューヨークで生きる道を選んだ日本女性の生き方を克明に収めた同作品は09年に完成し、マイアミ国際女性映画祭、東京国際女性映画祭、チュニジア国際映画祭、台湾女性影展など数多くの映画祭で上映された。11年、東日本大震災後に被災地を取材。ドキュメンタリー映画『311:ここに生きる -In The Moment-』を完成。東京国際女性映画祭を皮切りに、世界中で上映を続けている。
- 内容の良いものを見せてもらえて嬉しい。
- 人(女性)の強さ、やさしさ、素晴らしさを強く感じました。
- 500円で内容も良くこれからも続けて欲しい。
- 女性視点で被災された人々を中心に描かれた映画、初めてみました。