男女共同参画強調月間(フォルティッシモ)
中園ミホさん講演会
「働くことは 生きること」
昨年に引き続き今年も会場の定員数を超えるお申込をいただき、
多目的ホールから文化会館中ホールに会場を変更しての開催となりました。
「働く」ということ
私は、現代は「男だから」「女だから」という時代ではないと感じています。今は本当に厳しい情勢で、どんどん女性が働かないと、男性がいくら正社員でも明日どうなるか分からない時代です。三重県は三世代同居も多いと伺って、いい意味の家庭的な慣習が残っている魅力的な地域なんだなと思いましたが、一方で「働く」ということでは、様々な選択肢を持つ必要があるのではないかと思います。
もちろん、外で働くことだけが「働く」ということだとは考えていません。以前に連続ドラマを書くために専業主婦の方をたくさん取材したのですが、専業主婦って自分でやろうと思えば果てしなく仕事があるんですね。大変なのに世間で認められていないなとも実感しました。
働く女性へエール!
私は脚本を書くために取材します。ものすごく取材します。派遣の方たちに取材をしたことがあるのですが、みんな本音を話してくれない。それでも3か月かけてお酒を飲みながら話を聞くうちに、一人がセクハラの話を始めました。その話を皮切りにその場にいた全員が泣き始めたんです。一番辛い人って本音が言えないのですね。今思い出しても感極まってしまいます。これはドラマとして私が書かなきゃいけないと思い、出来たのが『ハケンの品格』です。
派遣の人たちに元気を出してもらう作品を作りたいと考えたのですが、家に帰ってきてまで、嫌な現実をドラマで見たくないだろうという想いもあり、なんでもできるスーパー派遣を主人公にしました。作品を少し現実離れさせる代わりに、主人公に本音を言わせたかったんです。放送後、派遣の人たちに「今まで言えなかったことをドラマで言ってもらえて感激した」と言ってもらえた時は本当に嬉しかったです。
「玉の輿」志望からシングルマザーに
若いころは「玉の輿」をまじめに目指していました(笑)。でも、玉の輿には乗れず、OLを経て占い師の助手として働きました。そこでの経験は人間観察のよい機会となり、今もその経験は活きています。その後、脚本家の人にひどい失恋をしたのですが、「もう一度会うためには脚本家になるしかない」という理由から脚本家を目指したんです。今考えると何とも不純な動機ですが、当時は真剣だったんですね。
また、私はシングルマザーですが、仕事をする中で働く女性の先輩からアドバイスを頂いたり、とても親切にしていただきました。それから、地域にも子供を育ててもらいました。子どもを預かってもらったり、ご飯をいただいたり…、本当に感謝しています。
そんなダメな人生ですが、その中で学んだのは「逆境は人を育てる」ということです。学生の時に玉の輿にのっていたら今頃不満だらけの主婦になっていたと思います。
私の人生経験なんて全然参考にならないかもしれませんが、現在ちょっと辛いなと思っている人がいたら、こんな人でもなんとかなっているんだと思ってがんばって欲しいと思います。
会場では・・・
中園さんのお話では、時に笑い声をあげながら、時に涙ぐみながら講演を聞いていただく参加者の方が多くいらっしゃいました。
アンケートを見ると、現在進行形で働いている30歳代から50歳代の層の方に特に多くご参加いただいていました。
また初めてフレンテみえのイベントに参加いただいた方が7割以上もおられました。
あなたにとって「働く」とは?
アンケートで「あなたにとっての『働く』とはなんですか?」と質問したところ、一番多かった回答は「生活(人生)の糧」でした、また、「生きがい」、「社会勉強(成長)の場」、「自己実現」「社会との繋がり」「楽しみ(喜び)」などのご意見が多くありました。「まさしく働くことは生きること」というご意見など多様なご意見をいただきました。
講師紹介
中園 ミホ Miho NAKAZONO(脚本家)
1959年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、広告代理店勤務、コピーライター、占い師の職業を経て、88年にテレビドラマ「ニュータウン仮分署」で脚本家としてデビュー。その後も「不機嫌な果実」「やまとなでしこ」「スタアの恋」「下流の宴」など、テレビドラマを中心に数多くの作品を執筆する。07年に「ハケンの品格」が放送文化基金賞と橋田賞を受賞。徹底した取材を通じてのリアルな人物描写には定評があり、特に女性の本音に迫るセリフは多くの視聴者から共感を得ている。また、近年は「東京タワー」「ゴースト ~もう一度抱きしめたい~」等の映画脚本も担当。日本大学芸術学部客員教授。
- 中園さんのお話、本音というか力のあるお話ですごく楽しかったです
- お話を聞いて今の自分でも生きていける勇気を少しいただけました。
- 逆境は人を育てるという言葉に頑張ってみようという気持ちになりました。
- とても身近に感じる楽しい内容でした。