The personal is political

開催日
2025年5月31日(土曜日)~6月1日(日曜日)
開催場所
三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」2階 セミナー室A
講座の様子写真

 令和64月に「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が施行されたことに伴い、困難な問題を抱える女性への支援や必要な知識について学ぶ講座を実施し、27名の方に参加いただきました。テーマの「The personal is political」とは、「個人的問題は実は社会の問題である」という意味です。講師としてフェミニストカウンセラーの河野 和代さん、友杉 明日香さん、村瀬 智子さんにお越しいただき、県内で活動されているパープルリボンくまのさんや、NPO法人女性と子どものヘルプライン・MIEさんとの座談会も行いました。

講座の様子写真
「困難な問題を抱える女性」とは、非正規雇用がもたらす貧困、夫婦間における暴力、居場所がなく孤立しやすいなどといった状況にいる女性を指し、その背景には無意識のうちに刷り込まれてきたジェンダーバイアスがあると言われています。感情・感性が豊かなのは「女性らしさ」、論理的、理性的なのは「男性らしさ」といった表現を耳にしたことのある人は多いと思います。このようなジェンダーバイアスについて、講師より「近代社会が性別役割を作り出した」と教えていただきました。女性の力を抑圧しコントロールしてきた歴史が女性から自信を奪い、自分より他者を優先すべきという他者優先の価値観を押しつけてきたということです。ですから、女性の抱える生きづらさや困難は個人の問題ではなく社会全体の問題として解決を目指すことが大切です。

 困難女性への支援でまず大切になるのは「自分を知ること」で、そのための様々なワークを実施しました。その中でも特に参加者からのリアクションが大きかったのは「自分史のワーク」です。「私の自尊心と〇〇の変化」というテーマで、自尊心のレベルとそれに関連する出来事を反映させた折れ線グラフを自分史として書き出してもらいました。内容をお互いに共有する時間では、自尊心レベルと当時の出来事やその時に感じていた気持ち等をアウトプットしました。「話すことも聴くこともいい勉強になった。」「自分の価値観や考え方のクセを知ることが必要だと感じた。」「参加者の方々と話をしたことで、自分とさらに向き合う時間になった。」という気付きが語られ、参加者同士お互いに力を受け取っているように見受けられました。
 支援者であるためには、自分と向き合うことが必要だと実感いただけたと思います。自己理解を深め、ジェンダーの視点を学び、それらを日常生活に反映させながら考え続けることで困難女性を支える支援の輪が広がっていくことを期待します。

グループワーク写真

参加者の声

  • 当事者の方が実際に支援に携わっているというお話を聞いて勇気と元気をもらいました。
  • 自分の価値観や考え方のクセを知ることが必要だと感じました。
  • たくさんのことを学ばせていただきました。専門的な内容でとても難しくて大変でしたが、有意義な2日間でした。
  • 新しい気付きがたくさんありました。大きな目標としては女性や子どもの支援を思っていますが、まず自分に対して役立てていきたいと思います。講師の先生方のあたたかい雰囲気に、とても安心感を感じました。
  • とてもわかりやすくお話をしていただいて、支援者の心理や相談者の心理の理解が深まりました。講義だけではなく演習の時間も多くあり、体験としての学びができたことがとてもよかったです。