平成28年度エンパワーメントスクール
私の声も大事!女性のための防災講座 入門編
災害が起こったときに女性も意見を伝えることの大切さ、そしてどのように意見を伝えたら良いのか。
それを学ぶため、講義とワークを織り交ぜながら3日間の講座を実施しました。
1日目にはフェミニストカウンセラーの丹羽麻子さんを講師に迎え、災害時に女性たちがどのようなことに直面し、またその中で何に困ったり、それを受けてどうしたのか等についてお話いただきました。
丹羽さんは東日本大震災発生後福島へと赴き、女性相談員として多くの生の声を聴いてこられた経験があります。
実際の写真とともに語られる現地での話を、参加者の皆さんは食い入るように聴いていました。
丹羽さんは「災害時に女性はケア役割を求められてしまう」とおっしゃり、同じ被災者であるにも関わらず、「女性だから」という意識の中で家事・育児といった普段から行っていることにプラスして、炊き出しなどの役割を求められたり、女性がやらなきゃいけないと思ってしまう現実を多く目にされたそうです。
そういった状況下では女性たちは自身の抱える個人的な悩みは訴えにくく、それをくみ取る女性相談の大切さ、そこから見えてきた課題を放置しないことの重要性について講義をしていただきました。
2日目は1日目で学んだことを生かして、実際の避難所運営を想定したワークショップを行いました。
高齢者やペット連れ、障がい者、性的少数者など、避難所では様々な人たちが共同生活をおくります。その場に暮らす人たちが少しでも暮らしやすい環境をつくるために、どのような運営をしたらよいか、グループ毎に話し合いました。
避難所の運営委員に女性を入れる、仕切りをつくる、母子室などの女性用スペースをつくるといった複数のグループで上がったアイデアもありましたが、病気を抱えている人を別室に案内する、手話や外国語通訳が出来る人を募る、意見を募るための意見箱を設置する、喫煙スペースを作るなど、グループごとの特色を持った避難所運営のアイデアがあげられました。
最終日は再び丹羽さんを講師に迎え、災害時に自分の声を正しく相手に伝えられるようになるため、ワークを通して練習を行いました。
前半では丹羽さんから、避難生活時に女性が意見を言えずに我慢してしまう要因について講義を受けました。その上で実際に使えるテクニックとして、「要望を伝えるときにはクッション言葉を入れる」などのテクニックもご紹介いただき、参加者のみなさんは熱心にメモをとられていました。
その後、災害時に実際におきた『避難所では女性が着替えをするスペースもなく、支援物資として届いた仕切りを設置したいが、避難所のリーダーからは「この避難所で暮らす人たちはみんな家族ですから、仕切りはいりません。」と言われてしまった。』という事例を題材にして、参加者のみなさんに自分の言葉で意見を伝える体験をしてもらいました。最初は自信なさげに話される方もいましたが、繰り返し声に出して練習をすることで、徐々に自信を持って意見を伝える実践力を身に付ける機会となりました。
最後に災害時の備えとして、すでにやっていること、これからできることなどをまとめた「私の防災計画」を作成していただき、講座を締めくくりました。参加者からは「私も声をあげていいんだ、と思えた。」「女性が意見を伝えることの大切さがよくわかった。」という声もいただき、ほかの参加者もそれに共感していました。
講座終了後も、参加者同士の活発な意見交換がつづき、災害時に女性がどのような暮らしづらさを抱え、その時に意見を伝えることの大切さを知るだけでなく、実際に意見を伝えるための実践力を身に付けることのできた講座となりました。
- 声を届ける大切さがよく分かった。自信をもって取り組みたい
- 避難所の運営がとても難しいことを実感しました。でも、私にも何かできることがあるはずと思います。声を出していきたいと思います。
- 自己主張の講座が興味深かった。ものは言いようで、角が立つことが多く、ストレスも生じやすい。コミュニケーションをよくすることに役立つと思った。改めて意思決定の場への女性の参画推進や女性の視点を生かしたものごとの運営、運用の大切さを感じた。
- これまでの防災講座では学べない、気付きがたくさんありました。今回で終わりではなく、また開催して欲しいです。