育キャリ☆仕事も家庭も! パパに贈る新しい働き方

開催日
2015年7月25日(土曜日)
開催場所
三重県文化会館 大会議室
講師
塚越学さん(株式会社東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部シニアコンサルタント、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事)
参加人数
16名

近年、「女性の活躍」という言葉とともに「イクメン」や「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が、頻繁に取り上げられるようになりました。

しかし、「イクメン」「ワーク・ライフ・バランス」というと、バリバリ働く男性に対して、家庭を優先するために出世を諦めたような、また仕事において少し一生懸命でないような印象を抱く人がまだ多いかもしれません。

この講座では、「仕事か?家庭か?」の二者択一でどちらかを犠牲にするのではなく、どちらも充実させてパートナーや子どもと一緒に成長していくキャリアのあり方「育キャリ」を紹介し、それぞれ置かれた環境の中で、「育キャリ」をどう実現していくかを考えました。

 

講師は株式会社東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部の塚越学さん。塚越さんはNPO法人ファザーリング・ジャパン理事でもあり、「育キャリ」の名づけ親でもあります。

今回は未就学児の子どもを持つ男性がほとんどだったため、そのライフステージを中心としたお話になりました。

 

まず子どもとの関わり方。

子どもが「ママがいい」というのは母性・父性は関係なく、「与えてくれる」存在だからということ、「早くしなさい」と大人に合わせるのではなく、子どものペース・ルールに合わせること、イヤイヤ期の関わり方などなど。

また新生児の育児がいかに大変か、塚越さんが実際につけていた記録からお話しいただきました。授乳、おむつ替え、沐浴、寝かしつけなど、1日の育児時間を集計すると11時間強。会社でいうと13時間残業をするくらい。仕事は連続してできるので、11時間働くことはできる。しかし同じ11時間でも、育児は分割して24時間体制。自由時間も待機時間。その間に他の家事や自分の食事もする。塚越さんは育児休暇を経験して、仕事より育児のほうが大変だと実感されたそうです。

 

次にママとのパートナーシップについてお話しいただきました。

家族のスケジュールを共有すること。先に家族の予定が入っていたら他の予定は入れない。仕事と同じで、先約を優先する。

育休からママが復帰する際は、夫婦のマインドチェンジが必要なこと。育休中に手をかけていた育児や家事が、復帰後はそれまでのレベルでできなくってしまって、落ち込むママは多いが、「家事は最低限にする」「これまですべて手作りだった食事を1品だけ手作りにする」など、夫婦ともにマインドチェンジすればいい。それを夫婦2人でやっていく。

大切なのは全部夫婦で話し合って決めて、共通認識をもつこと。

他にも、得意不得意はあってもできない家事はなくす、「自分のほうが大変」合戦をしない、「3出し」(口出し、ダメ出し、手出し)は抑えてお互いのやり方を尊重するなどをお話しいただきました。

1子が生まれたときは、ママも育児素人。日本では里帰り出産が多く、ママはその期間にスキルアップする。そして里帰りから戻ったときにパパは素人で、パパが何かしてもママは「そうじゃない」と気になってしまい、パパは「じゃあ俺は仕事で稼いでくる」となってしまう。たとえ里帰り出産であっても、パパが行ったときは育児に関わり、なるべくスキルに差がでないようにする。

育児でパパがしている割合が高いのは入浴。それは両親学級やプレパパ教室で沐浴を教えられるから。「日本のパパは習ったことはできるんです」と力強いメッセージをいただきました。

 

そして仕事との関わり方。

なぜパパも育休をとるべきなのか。育児が仕事に与える好影響をお話しいただきました。たとえば育児によって時間に制約ができることは一見不利かもしれない。しかし「人は制約があるから知恵を絞り、成長していく」。時間が足りなければ残業すればいいと考える人より、決められた時間で成果を出そうとする人のほうが成長する。

そして、タイムマネジメントは「時間」の管理ではなく「仕事」の管理で、どう管理していくか、上司をコントロールする「部下力」の強化など、実際どのように仕事をしていくかを学びました。

 

塚越さんのお話のテーマごとに、グループで話し合う時間も都度設けられ、それぞれの家庭の状況や、子どもやパートナーとの関わり方、今後のことなどで大いに盛り上がり、アンケートでも同じ立場で話ができてよかったという声をいただきました。

 

まだまだ日本は、パパが仕事と育児を両立できる環境がそろっているとは言えません。しかし、ひとりでできること、家庭からできること、身の回りからできることもあるということに気づく機会となりました。

そして今回ご参加いただいた「仕事も家庭も大事にしたい」というパパたちの小さな積み重ねが、きっと「これからの日本を変えていく」という明るい希望を感じられた講座となりました。

  

講座風景写真

参加者の声

  • 子ども、妻、仕事への向き合い方を改めて考える、見直す機会になりました。
  • 論理的な話、メリットがわかる話で、男性も納得できる内容だった。
  • グループでの話し合いも楽しんでできました。時間も短く感じ、大変充実した1日でした。
  • (仕事、家庭と)優先順位をつけるのではなく、どれも大切にしてよいと思えました。子どもばかりかまっていましたが、妻も今まで以上に大切にしようと思います。
  • 自分の働き方、部下の働き方を考え直すヒントをもらえた。
  • ディスカッションの中でいろいろと話が聞けて、自分自身は仕事をメインに置きすぎであると感じ、今後は時間をうまく使い、パートナーとともにやっていきたいと思いました。
  • グループワークを入れてもらったので、女性と違って話をしにくい男性同士でも話ができてよかったです。話の中で共感できる部分もあり、嬉しく感じました。