フレンテみえエンパワーメント・スクール
女性のためのライフサイクル研究コース
~「完璧な母親」という荷をおろすために~

開催日
2007年12月1日、8日、1月12日、19日 いずれも土曜日、全4回
開催場所
三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」 2階セミナー室A、1階 生活工房
講師
加藤 伊都子さん(フェミニストカウンセリング堺 フェミニストカウンセラー)ほか
講座の様子

「家事って私の仕事なの?」「うまく子離れできない」「仕事で子どもに寂しい思いをさせているのでは」こんな思いを抱いている女性たちを対象に、「母親」のイメージをメディアや、からだなどの視点から捉えなおし、自分の生き方を考える講座を開催しました。
テーマをより深く理解していただくために、講座のあとに語り合いの時間を新たに設けました。

講座+語り合いの形式で講座が進められました。

多くの参加者から高い満足度をいただきました!

1 講座

第1回 あなたのしんどさはどこから来るの? 講師 加藤伊都子さん

 少し緊張気味の受講生の方々でしたが、加藤さんの親しみやすい雰囲気にリラックスし、次第に意見が出るようになりました。「完璧な母親」のイメージを書き出す中で、それが理想にすぎず非人間的であることが分かりました。「完璧な母親を演じると、私たちは活き活きとは生きられません。大事なことは私たち自身が幸せになることです。」加藤さんの結びの言葉に、もやもやした思いがすっきりしました。

第2回 「母親」をメディアの鏡でみると 講師 小川真知子さん

 明るいキャラクターが魅力の小川さん。でもメディアに対する視線は鋭く厳しいです。この講座では、男性が多数を占めるメディアの現状とそこから発信される情報の偏りを話されました。グループワークではいくつかのCMを見て気づいたことを話し合いました。普段何気なく見ているCMによってジェンダーの刷り込みが行われていることに気づき、受け手の心構えも必要だと感じました。最後に小川さんは、メディアに対して苦情も賛辞もどんどん発信しようと提案されました。生活に活かせる情報は受講生にとって貴重でした。

第3回 私の身体は誰のもの? 講師 高見陽子さん

 高見さんの温かみのある大阪弁に、性やからだの敬遠しがちな内容もすんなり心に入りました。「自分の身体が好きですか?」という高見さんの問いかけに、新鮮な驚きがありました。スライドを使った女性器の説明では、自分の身体を知ることの大切さが話されました。グループワークでは、妊娠や出産した時の気持ちを話し合い、参加者ひとりひとりがこれからの生き方について発表しました。

第4回 新しい生き方をGETしよう! 講師 加藤伊都子さん

 最終回では、まず歴史のなかで母性がどのように扱われてきたのかを学習しました。グループに分かれて自分が親から与えられた中で捨てたものと親からのサポートについて話し合いました。加藤さんは、「親だから立派なことを言わなければと思わなくていいんです。それより日常生活の中であなた(子)が大事だよというメッセージを出していくことが大事です。完璧な母親になる努力は捨てること。子育て中は、自分のしたいことを我慢するのではなく休ませているのだと考えましょう。母としての経験があなたらしさにプラスされて次のステップで必ず活かされます。」と話され、参加者は勇気づけられました。

2 語り合い(第1回~4回)

 それぞれの講義のあと、フェミニストカウンセラーの中川祥子さんとフレンテみえの相談スタッフがファシリテーターを務め、守秘・尊重・共感をルールに3つのグループで話し合いが進められました。参加者は、自分の感じたことを話すことで気持ちが整理され、また、他の人の意見を聞くことで、新しい視点に気づきました。

講座後の活動

 講座終了後有志で、「スマイリー」という名前のCR・語り合いのグループが誕生しました。CRを通して自分を見つめる作業をしています。

講師・加藤伊都子さんから!

 受講生の皆さんの印象を一つだけあげてください言われたら、迷うことなく「熱意」という 言葉をあげたいと思います。それほど、講座での皆さんの態度は熱心なものでした。その熱意は、子どものためによい母たらんとする意志の表れでもあります。そのまじめさは、ある意味「けなげ」と言ってもよいほどのものでした。
 このような女性たちとの直接の出会いがあれば、「最近の母親はだめになった」だの、「家庭の教育力が落ちた」などという言葉は、そう簡単には言えなくなると思うのですが、現実はそうではありません。何かといえば母親への批判が取り沙汰されます。そのことをひしひしと感じている母親たちは、そうした論調が言わんとしている母親像に自分をあわせようと努力しますし、うまくいかないときには自分を責めます。まじめで向上心のある女性ほど、こうした言説の影響を受けやすいと言ってもよいでしょう。しかし、こうした言説にあわせることは、母である女性自身を抑圧し、 生き生きとした感情を失わせ、同時に母親であることの自信をも失わせていきます。 
 今回の講座では、母親であることについてさまざまな切り口から学び、不安や自信 のなさをもたらすものは何かについて考えてみました。よき母たらんとして自分を失うことがないように、というのが、講師陣の願いでしたが、先述したとおり、まじめで熱意ある皆さんなればこその学びと変化があったと思います。この変化が、受講生の皆さんの今後の人生を、よりその人らしいものとするささやかな一助となることを願っています。

加藤 伊都子 さん

加藤さん

有)「フェミニストカウンセリング堺」所属
日本フェミニストカウンセリング学会認定フェミニストカウンセラー
特定非営利活動法人日本フェミニストカウンセリング学会所属「フェミニストカウンセリング堺」代表
親業訓練インストラクター

参加者の声

  • 子育てという共通の話題で、いろいろな年代の方と気持ちを共有できてよかったです。
  • 自分を見つめなおす機会になりました。
  • 何より講師の先生方がすばらしかったです。自分の「先を行く人」として目標になる女性たちでした。
  • 語り合いでは、自分の意見がたくさん言えて聞いてもらえてうれしかった。
  • 肩の荷をおろす方法が分かった。