三重県内男女共同参画センター3館連携映画祭2007
映画「三年身籠る」上映&シネマトーク

開催日
2007年6月2日(土曜日)
開催場所
三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」 1階 多目的ホール

 平成19年度、三重県内の男女共同参画を推進するため、鈴鹿市男女共同参画センター「ジェフリーすずか」、四日市市男女共同参画センター「はもりあ四日市」、そして三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」の3つのセンターが手を取り合い「映画祭」を開催することとなりました。
 去る6月2日(土曜日)に映画祭の第1弾、映画「三年身籠る」上映&シネマトークが行われました。講師は、映画・演劇評論家の小藤田千栄子さん。小藤田さんのお話に加え、フレンテみえ企画・運営サポーターで映画が大好きという伊藤英子さんによるインタビューも行われました。
 そのシネマトークの内容を抜粋してお知らせします。

 小藤田千栄子さんシネマトークより(要約)

トーク中の様子

 皆さん、こんにちは。
 映画監督というと誰を思い浮かべますか? やはり小津安二郎監督、あるいは黒沢明監督など、映画というのは昔は男の仕事だったんです。
 ところが、最近は、女性監督の作品が非常に増えてきました。この世の中は男と女が半々ですから、あらゆることに於いて、男女半々であることが望ましいと思っています。でも、男の人たちが考える女のあり方というものが、長い間、世界中で作られてきたわけです。男の監督が女を考えた場合、かつて2パターンしかなかった。
 ひとつは非常によくできた家庭婦人、もうひとつは、外で働いていて、しかもセクシー、代表的なのはマリリン・モンローですね。でも、私たち女がみると、そりゃないと思うわけです。そういうことを口にすると、「あれは生意気な女だ」とか言われる。そういう時代だったわけです。
 でも、60年代後半に、“ウィメンズ・ムーブメント”とか“女の運動”というような事が起こってきました。世の中の女性の動きが変わってきますと、映画は必ずそれを反映します。
 ただし、ハリウッドのような資本の大きいところは、反映するのに10年かかりましたね。ひとたびアメリカでそういう動きがあると、あっという間に世界中に波及しました。70年代の後半、ほぼ世界同時多発的に映画の世界が変わってきたわけです。そして、その時に、今につながる女性監督が誕生してきたわけです。
 つまり、男性が考える女性のヒロイン像と、女性が考える女性のヒロイン像は違うんじゃないか、そういう問題提起だったわけですね。
 「映画はその時代を写す」。何年か経って、その映画を観ると、その時代のあり様、あり方を今、再び学ぶことができる。そして、新しい世界の動きを知りたかったら、なるべく新しい映画を観た方がいいんじゃないかと思います。

 インタビュー(抜粋)

インタビューの様子

伊藤さん:小藤田さんは映画・演劇評論家でいらっしゃいます。この世界でも、以前はテレビ等で男性の評論家のご活躍が中心でしたが、最近は女性の方も出ていらした。小藤田さんはその中でも草分けでいらっしゃると思いますが、いかがでしょうか。小藤田さん:特に女性の場合は、お亡くなりになった小森和子先生、南俊子先生などといった方が開拓なさったから今日があると思いますね。
伊藤さん:ロバート・レッドフォード監督の「普通の人々」の中で、子どもが「食欲がないからもう食べない」と言うと、母親がそのハムエッグを捨てるところがあるんですよね。小藤田さんはその場面のことを評論に書いていらっしゃいますけど、やはりそういったところに反応するのは、女性が、常日頃、台所などの日常生活に密着しているからだと思います。でも、これからは、両方が、生活のことも政治のことも世の中のことも一緒に感じられるようになるといいと思いますね。
小藤田さん:男性の中には「女の考えることはばかばかしい」とお思いの方が、いまだにたくさんいらっしゃると思います。もちろんそれは自由ですが、そうじゃない、女性の視点を考えると、世の中、広くなってくると思いません?
伊藤さん:そうですよね。そうすると、男性の考え方というのも分かってくる。今までは自分だけの考えだけで観ていたものが、「あぁ、男性だとこう考えるんだな」あるいは、「女性だとこうなんだ」など比較をしてみることで、より映画が深く観られるということですね。
伊藤さん:小津安二郎監督は三重県出身で、「三重映画フェスティバル」でも上映しましたが、あの方の撮る映画はまた少し撮る視点が違っていたように思いますが?
小藤田さん:小津さんの映画を若い頃に観たときは、やはり少し抵抗がありましたよ。よくできた娘さん役の原節子さんが「お父さま」と、丁寧な別れの挨拶をしてお嫁に行くところで、大体終わるでしょ? 「それでいいのか」と思ったこともありました。
伊藤さん:私なんかも、昔は素直に観ていたところもあったわけで“女性は結婚するのが当たり前”だったわけですけど、さっきおっしゃった「時代を写す」ということから観ると、セリフの「まだ、結婚しないの?」などというのは、今だとセクハラになってしまいます。
今こういう映画を観て、あの時代はこうだったんだなと。
伊藤さん:アメリカなど外国でも今だに「風と共に去りぬ」や「ローマの休日」など結構若い方が観られていますが。
小藤田さん:よく「映画史上のベストワンを選んでください」などと言われますが、いつも「風と共に去りぬ」にしてるんです。アメリカの歴史を知りたければ、百冊の本を読むよりも、これを一本観ればよいという言い方があるみたいですね。
伊藤さん:スカーレットという女性が強くたくましく生きるというのは今にも通じる。
皆さんも映画の話で大いに盛り上がっていただきたいなと思います。

フレンテみえでは、9月15日(土曜日)、16日(日曜日)に三重映画フェスティバル実行委員会、三重県生涯学習センターと共催で「第5回三重映画フェスティバル」を開催します。
 詳しい情報は「三重映画フェスティバル」チラシ、ホームページでお届けします。どうぞ、ご参加ください。

注意このイベントは終了しています。