平成19年度ファンファーレ事業「輝け!セカンドライフ」
作家 三田 誠広さん講演会

開催日
2007年4月28日(土曜日)
開催場所
三重県男女共同参画センター フレンテみえ 1階多目的ホール
講師
三田 誠広さん

芥川賞作家 三田誠広さん講演会 「明るく自由な第二の青春が始まる」

 フレンテみえでは当年度の重要テーマを多角的に捉え、大きく打ち出しスタートする事業をファンファーレ事業として開催しています。
 平成19年度は「2007年団塊世代の大量定年」を焦点に、「輝け!セカンドライフ」と名付け、団塊世代を対象に「芥川賞作家 三田誠広さん講演会~明るく自由な第二の青春が始まる~」を行いました。

三田さん

 定年後、会社人間という肩書きをはずし、固定的な性別役割分担意識を解消し、家庭や地域と関わっていくにはどうすればよいか、定年後の生活設計(ライフプラン)も含め、これからのセカンドライフについて考えました。

 作家三田誠広さん講演会の他、県内で活動する団体嬉野アイリスによる寸劇「もうやめた!みの虫生活」上演、(社)三重県レクリエーション協会による体操と活動紹介、ニュースポーツ体験、ファイナンシャルプランナーによる無料相談会、「輝け!セカンドライフ」パネル展と関連図書展示など盛りだくさんの内容で開催しました。

  • 寸劇の様子
    寸劇「もうやめた!みの虫生活」
  • 体操
    (社)三重県レクリエーション協会による体操
  • 受付の様子
    「ファイナンシャルプランナーによる無料相談」のエントランスでの受付の様子

講演内容

※三田誠広さん講演会の内容を抜粋して紹介します。

 三年前「団塊老人」という本を書いた時は、団塊の世代が定年の年齢に突入する2007年問題など、ずっと先のことだと感じていたのだが、いまはもうその2007年になってしまった。高齢者となった団塊の世代の問題は、団塊の世代自身の問題にとどまらない。このカタマリとなっている世代が健康で意欲をもって明るく晩年を過ごさなければ、医療保険も介護保険もパンクしてしまうし、何よりも国のムードが暗くなってしまう。若者たちが、自分たちもあんな老人になりたいと思い、意欲をもって生きていけるような、模範とならなければならないのだ。
 最悪なのは、夫が自宅のお茶の間でごろごろするうちにメタボリック症候群になりそれを見ている妻が亭主在宅症候群になって、二人ともダウンしてしまうことだ。そうした事態を未然に防ぐために、まず夫婦間の話し合いが必要である。妻が我慢して黙っているうちに、ストレスで心身症になったり、急に爆発して熟年離婚を宣言したりといったことにならないように、言いたいことがあれば、言葉によって表明する必要がある。夫の方も、定年を人生の終わりと考えずに、積極的に社会に参加しないといけない。
 社会参加の方法は三つある。「1、仕事を続ける。 2、ボランティア活動をする。3、人生の支えとなるような趣味をもつ。」
 いずれにしても、これこそが生き甲斐であるというような、人生の目標をもたなければいけない。大学生の中には、受験勉強に没頭するあまり、燃え尽き症候群になってしまって、人生の目標を見失ったまま、生きることに意欲をもてない若者も少なくない。実は定年も同様である。定年後にまだ20年以上の年月が残っているのである。悠々自適などと言っていると「粗大ゴミ」として家族から批判を受けることになる。60歳というのは、第二の青春の始まりであるが、また「僕って何」ということを真剣に考えないと、生き甲斐を見失って鬱状態になりかねない、危ない時期でもあるのだ。
 しかし20歳くらいの頃と違って、ある程度の社会キャリアがあり、貯えや年金もあるのだから、余裕をもって対応できる。フォークソングを歌ったり、演劇サークルを作ったり、子どもに遊びを教えたり、歴史や文学に興味をもったりといった、趣味や教養を拡げるこ
とが、豊かな老後の扉を開くことになるのではないだろうか。

三田 誠広 さん

三田さん

1948年生まれ。早稲田大学文学部卒。1977年『僕って何』で芥川賞。昨年度まで早稲田大学客員教授。日本文藝家協会副理事長。日本文藝著作権センター理事長。著作権情報センター理事。日本点字図書館理事。文化庁著作権分科会委員。

『僕って何』『いちご同盟』『団塊老人』『父親が教えるツルカメ算』『ダ・ヴィンチの謎ニュートンの奇跡』