男女共同参画フォーラム みえの男女ひと2008
男女共同参画の視点で進めるまちづくり

開催日
2008年11月9日(日曜日)
開催場所
三重県男女共同参画センター 「フレンテみえ」

 フレンテみえでの年間最大イベント「男女共同参画フォーラム~みえの男女(ひと)2008~」。前日の「日本まんなか共和国男女共同参画フォーラム」の熱気もそのままに、延べ665人の方々が集い「男女共同参画の視点で進めるまちづくり」をテーマにして様々なプログラムが繰り広げられました!なんと約40%の参加者が男性。皆さんの真剣な、そして楽しげな表情に、各地での日頃の取組が確実に実を結んでいることを実感させられる一日となりました。

全大会

県内における男女共同参画の推進状況について

全大会の様子

 フォーラムのスタートを切る全体会では、三重県生活・文化部男女共同参画・NPO室の亀井敬子室長が、さまざまなデータを示しながら男女共同参画推進の現況と課題について解説しました。
 三重県では、県や市町が設置する審議会等における女性委員の割合(女性登用率)を男女共同参画施策全体の目標にしており、政策・方針決定過程への男女共同参画の推進を施策の柱に位置付けているとのこと。亀井室長は「全国的にみると三重県の条例制定はいち早く、年々条例や計画を策定する市町も増えてはいるが、具体的な目標設定を明確にしたより一層の取組が必要。女性登用率アップのためには人材育成とともに、男性も含めた働き方の見直しや意識改革などの社会環境整備が重要で、総合的な取組が今後の課題」と話しました。


エントランス

ちょいワルおやじの会

~子育てパパの大チャレンジ~
 前日から丹念に作り上げた、しっとりしたおいしいケーキとコーヒーを参加者たちに振る舞いました。みなさんそのケーキとコーヒーを片手にあちこちで話も弾んでいたようです。“ちょいワル”さんたちも「普段の仕事とは違う主体性を発揮でき、準備から関わる事に喜びと楽しみを感じている」ということでした。
主催:ちょいワルおやじの会

パネル展

パネル展
 各市町の男女共同参画への取組や主催事業などについてのパネルが展示されていました。女性がより社会進出しやすい環境を整えるための計画や実施状況、それらを積極的に支援している企業(フレンテみえ登録企業)の紹介などが目を惹きました。私たち住民だけでなく地域や企業とも密接な関係を築いていくことが必要だと実感される展示でした。

ホールイベント
オープニング
三重県立津高等学校の生徒さんによる
未来へのメッセージ

学生1

 高校生の2人が学校という枠を超え、社会の中でのフィールドワークで学び、感じたことを熱く話してくれました。高校生の視点から見た男女共同参画という考えは、会場の参加者たちにとっては新鮮、かつ根本を思い出させてくれるものでした。自分たちが数年後に出る社会を明るく住み良いものにするためには、一人ひとりの世界を広げることが重要であり、今私たちができることとして「知ることの大切さ」と「仲間をつくること」を提案してくれました。

学生2

リーディング講演
小坂勝宏さん(亀山市副市長、亀山市男女共同参画推進会議会長)

小坂さん

 亀山市では、行政と市民が対等に議論を重ねて男女共同参画社会を実現するための事業をつくり出していますが、そのためにはまず職員の意識改革から始め、このまちに何が必要かを考えて、市民の声を聞くようにしていったとのこと。小坂さんは「市民が主体になって活動し、市民の思いを大切にできる議論の場をそれぞれの役割を担いながら設定するよう心がけている。これからのまちづくりでは「男女共同参画」と力を込めて言わなくてもよくなるように、確実に活動を進め次世代を担う若者たちに手渡していきたい」と語りました。

シンポジウム
「男女共同参画の視点ですすめる市町(まち)づくり~はじめる すすめる 未来へつなぐ~」

シンポジウムの様子

 石阪督規さん(三重大学人文学部准教授)のコーディネートにより行政・企業・県民それぞれの立場のシンポジストが男女共同参画の視点ですすめるまちづくりについて語りました。従来はトップダウン型だったまちづくりが男女共同参画の進展に伴って地域のネットワーク力が活用され女性の参加意欲も高まってきているという現状や、ポジティブアクションを導入して女性を企業の戦力として育てている第三銀行の取り組み、地域のキーパーソンや企業を巻き込んだ活動実践例などが報告され、行政・市民団体の関わりやワークライフバランス推進の重要性が話し合われました。

交流会

交流会の様子

 フレンテみえ企画・運営サポーター進行のもと、約30人の方が生活工房に集まり、前日から続く大イベントの余韻を惜しむように、あちこちで話に花を咲かせました。男性の参加も多く、前日から参加しているという他県からの参加者は「とても良い機会だった。私の地元での交流会には男性はあまり来ない。男女共同で市民がつくりあげている活動例を聞いて、ジーンときた。多くの方に情報を伝えたい」と話していました。またオープニングで活躍した高校生たちも「いい学びの機会になった。これからの参考にしたいし、クラスのみんなにも今日学んだことを伝えたい」と感想を述べていました。

ワークショップ

ワークショップA 働く人の声大集合!これがフツーじゃなかったの? ~あなたの会社の常識を考える
講師:東福寺一郎さん(三重短期大学生活科学科教授)
ワークショップB

コーチングスキルで親子・家庭のコミュニケーション力を高めよう
講師:葛巻直樹さん(G-up Coaching代表)

ワークショップC 女性だって科学がしたい!理系で学ぶ女子学生支援に 取り組む“オフサイド”な女性たち
講師:宮﨑多惠子さん(三重大学大学院生物資源学研究科准教授)
ワークショップD わがまちの男女共同参画の視点で進めるまちづくりプラン発表
講師:石阪督規さん(三重大学人文学部准教授)
ワークショップE 男性のワクワクする第二の人生へ
ワークショップF 若年妊娠への支援~ドゥーラ・女性による女性のための支援者について考える
ワークショップG 時代を駆け抜けた三重の女性たち
ポスタープレゼンテーションとパネル展

ワークショップA

働く人の声大集合!これがフツーじゃなかったの?~あなたの会社の常識を考える
主催:三重県生活・文化部 勤労・雇用支援室

ワークショップ1

 心地よい職場、すなわち男女ともに働きやすい職場を作り上げるポイントは、労働者を守る制度づくりと、それが受け入れられる職場の雰囲気づくり、社員の意識づけです。例えば、女性が出世に対して積極的になれる環境をつくるためには、出産・育児に関する制度をつくるだけでなく、職場がそれを自然に受け入れる雰囲気や、女性に対しての期待を表すことが必要になるでしょう。反対に、男性に対しても育児休暇などを気兼ねなく取れる雰囲気が大切になってきます。「男性」や「女性」にだけ注目するのではなく、「男女ともに」という視点で職場づくりを進めていく重要性を感じました。

ワークショップB

コーチングスキルで親子・家庭のコミュニケーション力を高めよう
主催:三重県健康福祉部 こども局こども未来室

ワークショップ2

 会場は家庭内のコミュニケーションを円滑にしたいと思う参加者で埋め尽くされました。コーチングとは、会話を通して相手のやる気や潜在能力を引きだし、自発的行動を促すコミュニケーション技術。親子、夫婦、男女、あるいは上司部下が会話をする際には指示や命令ばかりになりがちですが、まず対等な立場に立ち、相手の話を「聴くこと」を大切にします。お互いを認め合うことがひとを伸ばすのです。参加者たちはアイコンタクトをとったり、相手のペースに合わせたりといった能動的な聴き方のコツを実習しながら、配偶者や子どもたちとの信頼関係の気づき方を学びました。

ワークショップC

女性だって科学がしたい!理系で学ぶ女子学生支援に
取り組む“オフサイド”な女性
主催:国立大学法人三重大学大学院生物資源学研究科

ワークショップC

 宮﨑さんはこれまでの人生で何度となく立たされてきた「オフサイドポジション」の経験を話しました。「男子は理系、女子は文系」の時代に航海士をめざして専門の大学に進んだが、いつも「女性なのに何で?」という視線を浴び、企業からも女性ゆえにイエローカードをつきつけられ就職も難航。そんななか史上3人目の女性隊員として南極観測隊に参加、その経験を無駄にするまいという思いから自らの生き方を選択し研究者の仕事を続けてきました。生涯就業し続けるために身につけておくべき能力や知識の大切さ、また周りが変われば女性は決して「オフサイド」ではなくなることを力強く語りました。

ワークショップD

わがまちの男女共同参画の
視点で進めるまちづくりプラン発表
主催:三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」

ワークショップD

 各市町からフレンテみえの講座「まちづくり達人塾」に参加した受講者たちが、その成果のまちづくりプランを発表しました。男性が家事や子育てに参加しやすい土壌づくりを支援する「大好きパパ応援団」(四日市市チーム)、めざすべき社会像とのギャップをとらえて男女共同参画井戸端話をする「うまい!男女共同参画出前講座」(鈴鹿市チーム)、保育サービスにおける問題点をパネルで啓発し市民の理解を求めながら学童保育の充実を図るプラン(亀山市チーム)、トイレマップを活用した子育て応援プラン(津市チーム)などが発表され、市民と行政が一緒につくりあげるプロセスが財産であり、日頃の取組が男女共同参画につながることが確認されました。

ワークショップE

男性のワクワクする第二の人生へ
主催:ひろみ会

ワークショップE

 フレンテみえの講座「男性の家庭科」受講者がその後も集まって「ひろみ会」こと男の手料理教室を開きました。30代~70代と年齢層も幅広く、気の合う仲間で「料理とお菓子でコミュニケーション」をテーマに活動しています。炊事は女性と言うイメージを持ちがちですが、そんなことはありません。メンバーの中には三食とも男性が作ると言う方も…。自分の作った料理を食べて、「おいしい」と言ってくれるとうれしくなるのは男性も女性も同じです。参 加者たちは「家事は女性がするもの」と決めつけるのではなく、男性と女性がお互いに支え合い、補い合うという考えが大切だ等と語り合っていました。

ワークショップF

若年妊娠への支援~ドゥーラ・女性による女性のための支援者について考える
主催:女性と子どものヘルプライン・MIE

ワークショップF

 ドゥーラとは、アメリカで実践されている出産・子育ての経験がある女性による若年妊娠者の支援職のことです。当事者の気持ちを良く理解した親身なその支援は、若くして母親となる女性に人と人との信頼関係を体験的に伝え、周産期を通じて安心・希望を与えて、その後の安定した親子関係づくりに大きく寄与しています。参加者はドゥーラ実践を記録したDVDを視聴し、その活動の方法や課題についての解説を受けたあと、お互いの体験や考えを共有しながら、日本におけるドゥーラの必要性・重要性や実践の可能性について熱心に話し合いました。

ワークショップG

時代を駆け抜けた女性たち
ポスタープレゼンテーションとパネル展
主催:三重の女性史調査研究会

ワークショップF

 5年の時間をかけて取り組んでいる「三重の女性史」(仮称)作成の中間報告が行われました。女性史調査研究員が、これまで行ってきた聞き書き調査の中から農業の分野で活躍した女性たちについて、パネル展示に基づいて解説しました。戦後の農業女性は仕事・生活等様々な面でつらい立場にありましたが、それをバネに立ち上がり各地で暮ら