平成20年度男性講座
「くらしの哲学~自立したくらしを考える~」
毎日のくらしを自分らしく生きていくことの楽しさ、その基本は生活者としてのスキルにあると考えます。
この講座では、学校で家庭科は女子のみ必修という時代を過ごしてきた男性を対象に、男女が共に家庭でも自立したくらしを送るため、家庭科教育の現状と生活的自立の大切さを、講演と簡単なワークを通して学びました。
講師の南野忠晴さんは、元々英語の教師をされていましたが、生徒と接するうちに学校で一番教えないといけないことは、勉強よりも生活のことではと思うようになり、通信制の大学で「家庭科」の教員免許を取得され、家庭科教員試験を受験して家庭科の教員になられました。講座では、講師のこのような自己紹介からはじまりました。
現在の家庭科で教えていることは、「衣・食・住・保育・家庭・消費経済・福祉」といった多岐にわたり、人生そのものを扱う教科であると解説されました。特に、福祉の分野では、平均寿命が50歳台だった頃に生まれ、それをはるかに超える年代を生きている今の高齢者をモデルに、自分たちが高齢者といわれる年代を迎えたときにどう生きるのかを考えることが大切なのでは、と話されました。また、「経済的自立」「精神的自立」「生活的自立」「性的自立」の4つの自立を挙げ、一人で生きてゆける強さを持つことで、共に生きることができる、お互い助け合えることができると解説されました。
ワークでは、もてなす側とお客さん役とに分かれて、おいしい紅茶を参加者同士で入れ合いました。お湯の温度や茶葉のジャンピングが重要であると講師からアドバイスをもらい、どの参加者も楽しげな雰囲気のなか真剣に紅茶を入れていました。そして、何よりも心をこめて笑顔で相手をもてなすことが大切であるとのアドバイスもいただきました。
最後に、「人生の最後に、自分の人生の楽しかったことや、人生の転機になったことなどを振り返ると思いますが、それを今、振り返ってもいいのではないでしょうか。そして、この反省を活かして、今後の人生のスタートを切ってもいいのではないでしょうか」という言葉で講座を締めくくりました。
参加者からは、「今後の人生を楽しくやっていけるヒントを得られました」「リタイアはまだまだ先ですが、大変参考になりました。準備を今から進める気になりました」「身の回りの生活のなかで、一歩一歩自分の手足で実践して、感謝の気持ちを忘れず暮らしていきたい」などのご意見をいただき、これからのそれぞれの「自立したくらし」を考えるよい機会としていただきました。
南野 忠晴 さん
大阪府立成城高等学校家庭科教員/
NHK教育テレビ高校講座「家庭総合」講師
1958年大阪府生まれ。1981年大阪府立高校の英語科教員となる。
1992年約20名の仲間とともに「家庭科教員をめざす男の会」を結成(現在は活動停止中)。
1993年大阪府の教員採用試験を家庭科で再受験、1994年度より家庭科を担当。
2003年からNHK教育テレビ高校講座「家庭総合」講師としてテレビでも活躍。教員免許(英語・家庭科・福祉)、ヘルパー2級。
<共著> 「はじめて語るメンズリブ批評」(蔦森樹編)東京書籍 1999年
「教育とはなんだ」(重松清編著)筑摩書房 2004年