活動内容

三重県文化会館が俳優・介護福祉士の菅原直樹さんとタッグを組んだアートプロジェクト。 超高齢社会の中で、演劇が介護・老いの課題にどうアプローチすることができるか、2017年より県内各地で3年にわたる事業を展開しました。いずれも医療・介護の両面から専門家を招き、3年間の記録を分析・調査。2019年にはそれらをレポートとしてまとめ、冊子を発行しました。2020年からは、これまでの知見を県内に還元するため、プロジェクトの中で生まれた集団「老いのプレーパーク」による出張演劇公演+体験講座を1年1市町で展開していきます。

介護を楽しむ

介護の現場に携わる職員の方々や、専門学校の先生・生徒、認知症の人とそのご家族、また今後の高齢社会を担う子どもたちに向け、講演会や介護に演技の手法を取り入れたワークショップ(体験型講座)を開催。介護する側・される側のより良いコミュニケーションを考え、新しい介護のモデルケースづくりに取り組みます。

◆介護に寄り添う演技体験講座

遊びを通してリハビリを行う「遊びリテーション」や、認知症の人とのコミュニケーションを考えるロールプレイングなど、介護に演技の手法を取り入れることで、介護する側もされる側も、お互いがもっと楽に気持ちよく過ごせる、ちょっとした気づきを得る体験講座です。

◆見る・知る・感じる、認知症ケアの知恵ぶくろ

認知症サポーター養成講座、認知症カフェ、講演会といった多彩なプログラムを用意。今認知症に向き合っているご本人やご家族、介護職の皆さん、またこれから関わるであろう誰もが、1日を通して複合的に認知症について学べるイベントです。

認知症サポーター養成講座
認知症サポーター養成講座
認知症カフェ
認知症カフェ

明るく老いる

それぞれの人生を振り返りながら、老いをポジティブに捉えるワークショップを開催。2年目以降、ワークショップで出会った仲間をはじめ、シニアや介護関係者と共に「老いのプレーパーク」を立ち上げました。

◆老いのリハーサル

まだまだ自分の老後が想像できないという世代も、老いに直面し様々な悩みを抱えている世代も、演劇を通して老いた自分をリハーサルすることで、不安を解消したり、老いに前向きになることができる3回シリーズの演劇ワークショップです。

老いリハ1
老いリハ2

◆老いのプレーパーク

「よりよく老いるヒントは遊びの中にある」を合言葉に、県内の公募メンバーによって結成。定年退職したシニア、理学療法士、介護真っ最中の主婦や、認知症のお母さんとその娘さんなど様々な顔ぶれが集まり、菅原直樹さんと演劇作品をつくっています。老いのプレーパークの活動を追ったドキュメンタリー「老いてこそ~あなたの居場所はどこですか?~」(三重テレビ)は中部テレビ大賞(2020)優秀賞を受賞。

上演作品

撮影:松原豊

「老人ハイスクール」
舞台は少子化で廃校になった小学校を再利用した老人ホーム。そこは“老人ハイスクール”と呼ばれ、恋に落ちるもよし、非行に走るもよし、入居者たちはスクールライフを楽しんでいる。前代未聞の老人ホーム青春群像劇。

撮影:松原豊

「あたらしい生活シアター」
それぞれの人生を台本にして演じるサークル「生活シアター」。久しぶりの公演を計画するも、かつての仲間は認知症や高齢になってバラバラに…。「だったら自分たちが演劇を届けに行こう!」 メンバーたちの人生を紐解くロードムービー劇。

撮影:西岡真一

「Moving Day」
2世帯同居を解消して移住を決めた老夫婦や、夫と姑を看取り友人とシェアハウスを始めようとする女性、亡き父の遺品整理のため出店した中年の姉弟―「高齢者の引っ越し」をテーマに、フリーマーケット会場で繰り広げられる短編劇集。