みえアカデミックセミナー2023 移動講座(尾鷲市)
皇學館大学公開セミナー「熊野古道伊勢路の中世石造物」

開催日
2023年10月1日(日曜日)
開催場所
尾鷲市立中央公民館
開催時間
13時30分から15時00分まで
講師
皇學館大学 文学部 国史学科 教授 岡野 友彦さん
参加人数
19名
参加費
無料

県内の全ての高等教育機関と連携し、各校の特色を活かしたセミナーを開催している「みえアカデミックセミナー」。
毎年夏に三重県総合文化センターで公開セミナーを開催し、秋から冬にかけては「みえアカデミックセミナー移動講座」として県内各市町で出張講座を開催しています。


みえアカデミックセミナー2023移動講座の第2回目は、尾鷲市立中央公民館にて、皇學館大学 文学部 国史学科 教授  岡野 友彦さんを講師にお招きして公開セミナーを開催しました。

講師写真
皇學館大学 文学部 国史学科 教授  岡野 友彦さん

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【講演内容紹介文(チラシより)】
伊勢神宮から熊野三山に至る熊野古道伊勢路には、いくつかの興味深い中世石造物を見出すことができます。普通に歩いていると見逃しがちな路傍の石ですが、注意深く観察すると地域の歴史を雄弁に物語る文化財となります。
今回は特に、尾鷲と三木里をつなぐ八鬼山越えに点在する「八鬼山町石」を中心にお話ししようと思います。
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講演の様子

伊勢神宮から熊野三山を目指す参詣者が歩いた「熊野古道伊勢路」。その中でも「八鬼山」の「町石」に関する話を中心に、地元尾鷲で移動講座を開催しました。

中世の石造物の基礎知識とともに、熊野古道に点在する石造物の紹介から講座が始まりました。
町石は一町(約109メートル)ごとに立てられた標石で、旅人にとって道しるべとなるものでした。
現在、八鬼山で見つかっている町石は三十七基ですが、実際には五十基設置されていたと考えられています。また設置年は1586年から1591年と記されています。

講演の様子

そして熊野の地で生まれた尼僧・慶光院清順上人の供養碑とされる不動明王立像との関係にも触れられました。

これらの町石と供養碑は、長い歴史の中で中断した時期もあった式年遷宮の復興に尽力した清順上人に対し、感謝の意を表し、また旅人への便宜を図る為に伊勢御師たちが設置したものと考えられています。
講師の岡野さんは、熊野古道は
清順上人ゆかりの地ではあるものの、八鬼山が選ばれた理由は他にもあるのではないか、今後の研究によって明らかになってくる部分もあるのでは、と語られました。

熊野古道は2024年に世界遺産登録20周年を迎えます。熊野古道伊勢路についてより理解を深め、後世に伝えていきたいという地域の方々の思いを改めて感じる講座となりました。

参加者の声

  • 以前、八鬼山に行った時のことがさらに理解できてよかったです。
  • 町石か普通の地蔵か区別もつかず、ながめてきました。これで区別がつくと思います。
  • ありがとうございました。興味が持てました。八鬼山町石を探したいと思いました。