【ミエ・アート・ラボ関連プログラム】 
特別ワークショップ「マイクさんと音であそぼう♪」

開催日
2016年11月24日(木曜日)/25日(金曜日)
開催場所
桑名市立大山田西小学校/津市立新町小学校
講師
マイケル・スペンサーさん
アシスタント
上野学園 酒井雅代さん
日本フィルハーモニー交響楽団 大澤哲弥さん
参加児童数
4年生23名/6年生59名

三重県総合文化センターでは、アートと教育分野をつなぐ“コーディネート”の役割を私たちの使命と位置付け、さまざまな取り組みを進めています。
その一環として2015年度に初開催し反響をいただいた、マイケル・スペンサーさんによる音楽ワークショップを、今年度は県内2つの小学校で開催しました。


【11月24日(木曜日) 桑名市立大山田西小学校】

桑名市立大山田西小学校で音楽ワークショップを体験するのは、音楽が大好きな4年生のみなさん。
マイクさんと会える日を心待ちにしてくれていたそうです。そんな4年生を、マイクさんたちはハイドンのピアノトリオ「ジプシートリオ」の演奏で迎えてくれました。子どもたちはヴァイオリン・チェロ・ピアノの生演奏に驚きつつ、楽器の真ん前で真剣に演奏を見つめていました。

先ほど聞いた「ジプシートリオ」のテーマに歌詞をつけて歌い始めたマイクさん。
『さあ踊りましょう手をつないで・・・♪』
子どもたちも促され、顔を見合わせながら小さな声で歌い始めました。さらに歌に合わせてダンスを教わります。最初は照れくさそうだった子どもたちも、二人一組で繰り返し踊るうちに、笑い声が響き始めました。

次に、グループに分かれておぼえた歌のメロディーを探します。おぼえたてのメロディーを口ずさみながら、木琴をたたいて音を探していきました。
メロディーが弾けるようになったら次はバリエーションを創作することに挑戦。歌川国芳の絵を使ってヒントをもらったら、再びグループに分かれ自分たちだけのアレンジを考えます。最初は考え込んでいた子どもたちも、マイクさんから一言アドバイスをもらうとそこから「この部分を2回くり返したい」「合間にトライアングル鳴らすと面白い」「途中で楽器を換えたい」など、アイデアがどんどん出てくるようになりました。

完成した各グループの曲を、みんなの前で演奏しました。お互いの演奏を聴いて気づいたことを発表。自分たちの工夫したところを友だちに気づいてもらい、嬉しそうです。最後はみんなで「ジプシートリオ」を演奏しました。講師陣の演奏の途中に、みんなで考えたバリエーションが入ります。子どもたちは緊張の面持ちでしたが、最後まで止まらず弾き切ることができました。演奏が終わると安堵とともに達成感がこみ上げ、自然と拍手がわきおこりました。

5限目には午前中に体験したワークショップをふりかえる「省察活動」を行いました。
講師に青山学院大学社会情報学部の苅宿俊文さんをお招きし、マイクさんの授業でどんなことが起こっていたのかをふりかえりました。先ほどのワークショップの様子を写真や映像でふりかえりながら、自分たちの発言や表情を子どもたち自身が確認します。そしてこの時マイクさんはどんなことを思っていたのか?自分たちはそれでどう感じたのか?と思い出してみました。苅宿先生はたくさんの言葉を子どもたちに提示しましたが、その中で、多くの子どもたちの心に残った言葉は「音楽はつなげることができる」でした。マイクさんのワークショップがどうして楽しかったのか?それは、自分と仲間を、自分とマイクさんを、自分と過去の音楽家や画家を、もっともっと色んなものを、音楽がつないでくれていると感じたからかもしれません。

 

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省察活動とは
ワークショップ終了後、ワークショップの中での考えや行動を思い出し、これまでの経験やこれからの目標と比較しながら自分の考えや行動を見直して意味づける活動のことです。
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【11月25日(金曜日) 津市立新町小学校】

25日は津市立新町小学校6年生のみなさんを対象に、音楽のワークショップを実施しました。
テーマは同じくハイドンの「ジプシートリオ」。今日はどんな「ジプシートリオ」になるのでしょうか?マイクさんたちと音であそぶ時間の始まりです。
最初は歌もダンスも照れてしまい、苦戦する6年生。それでも繰り返し踊るうちにメロディーを口ずさめるようになりました。

グループに分かれて音を探す時間。最初は意見があまり出ず、なんとなく木琴をたたいていましたが、ある一人が音を見つけると、周りのメンバーから拍手がおこりました。一人できるようになると、教え合ったり真似したりしてどんどん広がっていきました。

創作に入ると、「2オクターブでたたいてみよう」などと、先ほどよりも意見が飛び交うようになってきました。そこへマイクさんから「その楽器は他にどんな音がする?」「それはいつ鳴ると効果的だろう?」「何回繰り返す?」などと問いが投げかけられ、さらに熟考する子どもたち。
テーマのメロディーを2回演奏する合間に「ドレミファソラシドドシラソファミレド」を入れる、最後グリッサンドで終わる、などユニークな案が次から次へと出てくるグループもありました。

※グリッサンド=ある音からある音に向かって、上あるいは下からすべらせるように演奏する奏法

グループ内で「分からん」「だからこうやん」「あ~なるほど」と何度も話し合い、自分たちのやりたい演奏が完成すると笑顔がこぼれました。「最後にもう一回通そう」と発表を前に意気込み充分です。
講師陣との最後の合奏では、各グループのまったく違ったアレンジを聴くことができ、それぞれ他のグループの演奏を楽しんでいました。間違えてもとにかく協力して演奏をやりきる姿に、見ている人も感動をもらいました。

協力  学校法人上野学園  青山学院大学社会情報学部附置社会情報学研究センター
助成  グレイトブリテン・ササカワ財団

参加者の声

  • ***桑名市立大山田西小学校4年生***
  • 自分で考えるということがおもしろかったです。
  • アレンジした曲同士で一つの大きな曲を作るのが楽しかったです。目で伝える事が出来たのが良かった。
  • 言いたいことをみんなに言ったらちゃんと聞いてくれてうれしかったです。
  • 音楽は人と人をつなぐことを知ってとても音楽がすきになりました。今日はとてもいい日でいいべんきょうになりました。
  • マイケルさんはとてもみんなをえがおにしてくれるなーと思いました。
  • 練習の時はバラバラでした。でもマイケルさんのアドバイスでバラバラだったのがいいメロディーになったのがうれしかったです。 
  • ***津市立新町小学校6年生***
  • 音楽はいろいろなあそびかたがあるとわかりました。音をさがすのに時間がかかったし、大変でした。でも、それも楽しかったです。それに最後にみんなでやると、すごく楽しくなりました。やってみて、よかったとおもいました。
  • みんなが一つになれる感じがしてよかった。おどるときにいろいろな人とふれあえてよかった。はじめは曲になるか心配だったが、ちゃんと曲になってよかった。
  • チームでかんばることができた。アイデアなどを出しあうことができた。みんなで音を合わせて演奏することができた。
  • 楽器で演奏するのを本番は手がふるえた。
  • マイクさんが教えてくださった、あの歌とダンスはもうぜんぶおぼえてしまい、頭の中に残っています。
  • 発表の時はマイクさんたちがピアノとバイオリンとチェロをしてくれてその間奏の時に木琴などをひくのは緊張したけれど本物の楽団の方といっしょにできてうれしかったです。