ミエ・アート・ラボ 特別プログラム
「マイクさんと音で遊ぼう♪」の事業報告
1.小学校へのアウトリーチ
題材 ストラヴィンスキー「春の祭典」
津市立村主小学校の5年生28名を対象に、音楽ワークショップをお届けしました。なんと、音楽
ワークショップであるにも関わらず、今回、楽器は一つとして使用しません。使うのは、自分たち
の身体と声のみです。
楽しいアイスブレイクの後、様々なリズムパターンがイラストで描かれたシートが配られました。
それらを使って、グループ毎に自由にシートを繋げて創作の過程を体験していきます。途中、マイ
クさんからのアドバイスや簡単な質問が各グループに投げかけられると、曲がどんどんと変化して
いきます。それぞれが、まったく違った曲を作り上げました。出来上がった曲を相互に発表したと
き、マイクさんから「ファンタスティック!(すばらしい!)」と褒めてもらうととても満足そう
な子どもたち。
最後に、オーケストラ音源による「春の祭典」の演奏を聴きました。子どもたちは一様に、題名か
ら連想できない厳しく激しい旋律に驚き、日本と欧米の「春」に対するイメージの違いについても
学びました。
サプライズで、子どもたちからマイクさんに、合唱のプレゼントがありました。
2.公開ワークショップとオープンディスカッション(座談会)
題材 ラヴェル「ボレロ」
第1部は、公募で集まった小学校4~6年生42名を対象に、公開ワークショップを実施しました。
初めて出会う子どもたち同士の心と身体をほぐすため、イントロダクションが静かに始まりました。
まったく言葉を発しないマイクさん。身振りと表情だけですが、いつの間にか子どもたちはクスクス
と笑い出しています。固かった子どもたちの表情も少しずつほぐれていきました。
声と身体を使いながら全員が仲良くなれるようなアイスブレイクへを経て、本編である創作へと入っ
ていきました。ボディパーカッションによる簡単なリズムと、同じ音階を繰り返すオスティナート
(ostinato)の説明、練習をした後、子どもたちがグループに分かれて創るのは「旅人が遠くから一
人で歩いている。途中、一緒に旅する人がだんだんと増えながら目的地へ向かい進んでいく。最後、
目的としていた場所へ到着したら大きな声でさけぶ」という物語です。遠くをどう表現するか、だん
だんと目的の場所へ近づく様子をどう表現するかなど、表現方法はすべて子どもたちの発想に委ねら
れました。
最初はどうしたらいいか戸惑っていた子どもたちでしたが、こちらでもマイクさんからのアドバイス
や簡単な質問が各グループに投げかけられると、曲がどんどんと変化していきます。それぞれが、ま
ったく違った曲を作り上げました。出来上がった曲を相互に発表したとき、マイクさんから「ファン
タスティック!(すばらしい!)」と褒めてもらうととても満足そうな子どもたち。違いが生まれる
ことを恐れず、むしろ楽しんでいるようでした。
最後に、オーケストラ音源による「ボレロ」を実際に聴いた子どもたちは、より深くリズムやメロデ
ィを感じられるようになっていました。
第2部は、マイクさんを囲んでのオープンディスカッション(座談会)を開催しました。先程の「ボレロ」ワークショップの進行をふり返り、今日の子どもたちに合わせて工夫・変更した点や、言葉がけの意図、なぜこの場面で見学席に背を向けていたかといった、ワークショップのデザインの部分について詳しく解説していただきました。後半は、フロアからの質問に応える形で、イギリスと日本の芸術分野、教育分野の連携実態の違いや、近年、大きく変わりつつある劇場の社会的責任などについてお話しいただきました。
「今日の子どもたちが、10年後、20年後に世界を眺めるとき、音楽が彼らの心や思考を外に向けて開くための窓になればいい。音楽(芸術全般)は、その窓となることができる」というメッセージが印象的でした。
「ミエ・アート・ラボ」の中でディスカッションのテーマの一つとして取り上げる予定です。
- *********小学校へのアウトリーチ(村主小学校の5年生)*********
- 音楽がとても楽しくて、おもしろいと感じました。
- 3チームに分かれて音楽を作ったことで、音楽は体であらわすともっと楽しくて、見ている人も楽しくなることと、音楽の楽しさを知ることができました。
- 一番楽しかったのは、音楽づくりでした。リズムづくりではメンバーと協力して、いろんなリズムを組み合わせるのがとても難しかったけど、いろいろなことをして音楽がますます好きになりました。
- *********公開ワークショップとオープンディスカッション(座談会)*********
- 子ども達が自然体で音楽に親しみ、発展していくカリキュラムが良かったです。先生も素晴らしいです。
- 楽しく、自然に音楽がつくられていくのが素晴らしかった。ユーモアは大事ですね。座談会でマイクさんの細かい心遣いをお聴きして勉強になりました。とてもよかったです。
- ボレロが主題のワークショップということでとても興味深く拝見しました。ワークショップを展開する上での指導者側の技量や想いをお聞きすることができ、勉強になりました。
- WS、子どもが主体的に音楽と関わっていく仕掛けがたくさんあり、よい取組だと思った。広がっていくとよいと感じた。座談会の意図や背景を聞ける機会はめったにないので、よい経験になった。今後、学校現場に生かしていきたい。