加害者は変われるのか
11月12日から25日は「女性に対する暴力をなくす運動」期間です。それに先駆けて、フレンテみえでは女性に対する暴力防止セミナー「加害者は変われるのか」を開催しました。
暴力加害者への臨床を行っている大船榎本クリニック精神保健福祉部長の斉藤章佳さん(精神保健福祉士・社会福祉士)を講師にお招きし、これまでのたくさんのご経験をもとにお話しいただきました。
冒頭に「加害者臨床」とは加害者への支援、ケアではなく、他者の行動や症状に対して責任をとるという点を重要視する、とお話しされ、被害者の回復促進という前提で取り組んでいくのが加害者臨床における方向性であるとご説明いただきました。
斉藤さんがこれまで数多くの加害者と関わってきた経験から、多くの加害者は認知の歪みから、自分の暴力を肯定する価値観を持っているそうです。「いやよいやよも好きのうち」「被害にあうのは女性にも落ち度があったのではないか」といった、加害行為を正当化する価値観をこの日本社会のなかで学んでしまう現実についてお話しいただきました。その背景にある女性をモノ化(性の対象)して消費する今の私たちの社会のことを「男尊女卑依存症社会」と語られました。
最後のまとめとして、暴力防止のためにはDVに関する知識をアップデートすることの大切さをお話しいただきました。DVは「学習された行動」であり、治療によって再発防止することができる、過剰な病理化は本人の行為責任の隠蔽につながる、小中高校といったより早い段階でDVや性暴力について学ぶ必要がある、など私たちが知っておくべきお話がありました。
また、講座に合わせて女性に対する暴力防止のシンボルであるパープルリボンを使ったミニイベントを開催しました。多くの方にご参加いただき、女性に対する暴力根絶に向けて、いっそうの機運を高める機会となりました。
- 加害者臨床の知見からのご講演を聞けてよかったです。まだまだ男尊女卑社会は様々なところで見うけられると思うので、それぞれが認め合う社会になることを望みます。
- 今回、セミナーを通して初めて知ったことが多かったです。実態を知ることで、そのことを深く理解できるのだと思いました。
- 自分自身にもジェンダーバイアスがあること、それに対してどう向き合っていくかが今後の課題だと思います。