女性が自由に生きられる世の中へ

開催日
2019年2月24日(日曜日)
開催場所
三重県男女共同参画センター「フレンテみえ」 多目的ホール

 毎年3月8日は国際女性デー。今年はそのプレイベントとして新宿歌舞伎町の元カリスマホストで現在はホストクラブ経営者、歌舞伎町振興組合常務理事など、多方面でご活躍されている手塚マキさんによる講演会を行いました。

講演会の様子

 父親はサラリーマン、母親は看護師という、周囲と大きくは変わらない一般的な家庭で育ち、高校は埼玉県の進学校へ通っていた手塚さん。だからこそホストクラブで働き始めたころは「真面目っこ」とからかわれ、自分にホストは向いていないのではないか、と思った時期もあったそうです。
 しかし、歌舞伎町では「真面目」ということが異端でマイノリティである、ということに気付き、この経験が今の経営者としての活動に活かされているそうです。

  

講演会の様子2

 経営者としてホストクラブを経営するうえで、手塚さんはホストの人間的教育を大切にしているというお話がありました。
 国会議事堂の見学、新潟地震の被災地への寄付などのほか、「夜鳥の界」というボランティア団体を立ち上げ、町のごみ拾いといった社会貢献活動も行っていらっしゃいます。
 また車いす利用者や外国籍の人、性的マイノリティの人などを雇用し、多様な文化に触れ合える機会を設けているそうです。
 「ホストをやめたとしても生きていける、という自信を持ってもらいたい」そんな手塚さんの想いから、ホストの人間的教育に力をいれているそうです。

 夜に女性が出歩くと危ない、とよく言われますが、危ない環境を作っているのは男性側なのに女性が外を出歩かないよう言われてしまう現状や、普段女性は〇〇さんの奥さん、△△さんのお母さんと呼ばれがちであること、さらに結婚している人であれば男性側の姓を名乗る人が多いことなど。そんな現状のなかで、手塚さんは、ホストクラブでは世の中の構造とは逆のことが起きていると感じているそうです。
 ホストクラブでは呼び名はファーストネームなどお客様が呼ばれたい名前を使い、職業、年齢は聞かないのが暗黙のルール。それは「このくらいの年齢なら結婚しているのか」「子どもは何歳くらいなのか」などといった「社会通念」という名の「偏見」が入り込むからだそうです。他にも結婚してなくて子どもが居れば「どうして?」と聞かれ、30歳なのに独身ならば「どうして?」結婚しているのに子どもが居ないと「どうして?」と聞かれる。
 手塚さんは、これらの「どうして?」は、同じようなタイミングで学校へ行き、就職し、結婚するという近代以前の「社会通念」を前提としているもので、これだけ生き方が多様化し続けているなかで、それでもなお「どうして?」となるのはなぜなのかと問題提起したうえで、「属性にとらわれない会話=役割からの解放」こそホストクラブでの会話なのだ、とお話されました。

 フェミニズムは「男女平等」ととらえられがちですが、手塚さんにとっては「性別からの自由」だそうです。「男女平等」という言葉のもと男女をなんでもかんでも同じにする、ということではなく、ひとりひとりの違いが尊重されないこと、つまり男だから、女だからという理由で束縛されてしまうことがあるということが問題だと語られました。
 最後に「自分自身を何かの枠にはめた方が楽、何かのレッテルを張った方が楽、そして自分自身が何者であるかという安心感。そういうものは捨てて、私たちはそれぞれが「自分」として生きていける社会を作っていきましょう」とのメッセージをいただきました。

参加者の声

  • 広い視野で社会を見ている姿勢が素晴らしいと思いました。こういう男性もいるんだなと驚きました。
  • 大変勉強になりました。男女にかかわらず、一人一人が尊重される世界に、という考え方に共感しました。
  • 女性にとって生き易い希望はたくさんありますが、それを理解してくれる男性達(夫)に講演をきかせてやりたいと思った
  • 気付いていなかった偏見など、気付かせてもらいました。お堅い方ではなく、人間味あふれる手塚さんのお話は自然で聞きやすかったです。