りょうがん所長のつぶやき

こいのぼりに想う・・・

今、突き抜ける青空の下で、三重県総合文化センターではこいのぼりが泳いでいます。
「おおきい まごいは おとうさん♪~」2番は、おかあさんがいて、こどもがいて
家族のあたたかい想いが、こいのぼりを揺らす風になって、伝えてくれてます。
父を想う話があります。こいのぼりを揺らす風になって、伝えますね。

学生時代、書類の手続きで1年半ぶりに実家に帰りました。本当は泊まる予定でしたが、
次の日に遊ぶ予定が入ってしまったので結局、すぐに帰ることにしました。
母にサインやら捺印やらをしてもらい、帰ろうとして玄関で靴紐を結んでいると、
父が会社から帰ってきました。口数が少なく、何かにつけて小言や私や母の愚痴を言う
父親のことが苦手で、一緒に居ると息苦しさを感じていた私は、父が帰宅する前に帰って
しまいたいというのも、日帰りも、通えない距離の学校を選んだのも、大きな理由の
一つでした。 
父が、「お前、泊まるんじゃなかったのか」ときいたので、「ちょっと忙しいから!」と
ぶっきらぼうに答えると、手に持っていたドーナツの箱を私に差し出し、
「これやるから、電車の中で食え。道中長いだろうから」と言いました。
駅に着くと、電車は行ったばかりのようで人気がなく、30分は待たされるようでした。
小腹が減ったので、父からもらったドーナツの箱を開けました。3個ずつ3種類
入っていました。家族3人でお茶するつもりだったんだなぁ。
でも、私が9個貰っても食べきれないよ。箱の中を覗き込みながら苦笑しました。
その直後。あぁ、父は凄く不器用なだけなんだろうな―。ふとそう思うと、
涙がぼろぼろ出てきました。様々な感情や思い出が泡のように浮かんでは消えるけど、
どれもこれも切なかったり苦かったりばっかりで・・・。
手持ちのポケットティッシュが無くなっても、ハンカチが洗濯して干す前みたいに
濡れても涙は止まらなくて、結局一本あとの電車が来るまで駅のベンチで
ずっと泣き続けていました。
父の自分を想う心にふれた気がして、ただただ、泣いていました。

子を想う親の気持ちは、どんな環境になろうとも、かわらないよ・・そう思うのです。
そう思いながら、こいのぼりをみると、なんだか僕は、心があったかくなるとともに、
子を想う優しい気持ちが伝わってくるのです。
こいのぼりから、やさしい、メッセージが僕たちに風になって伝えてくれている
気がするのです。

           万謝 三重県生涯学習センター 所長 長島りょうがん(洋)

はじまりは、いつも花・・・から

はじまりの春、いつも花に見守られている。そんな気がする・・・。
畠山美由紀さんの「わが美しき故郷よ」 
震災で傷ついたふるさとを想い、必ず春がくるよと、歌う。
~長い冬の あの厳しい寒さを乗り越えて
 やがて巡り春が 春が来るよ 芽吹く
 緑と 空高く 翔ける夢 私の美しい 故郷よ~

春を信じて、傷ついたふるさとへ届ける歌に涙が流れる。
一歩踏み出す春、踏ん張って前をみる春。桜の花がそのスタートラインを
見送ってくれてる。それは、旅立つ子どもを見つめる母のよう・・・。
桜からツツジの花に彩られる春の風景・・・。カラフルなランドセルと黄色い帽子が眩しい
新入生の声に交ざり合う、そんな風景に彩りとほほえみをもらう。

小学生のころ、甘いものに飢えていた私はよくツツジの花の蜜をその辺のミツバチよりも
よく吸っていた。吸いまくっているとハチも時々「うちのなわばりあらさんといて!」
ってきっちりと刺すのです。そんなときは、父から教わった方法で、よく小便で消毒を
しておりました。時々、その刺された消毒済みの指を間違ってなめてみたりすると、
妙に甘かったのは、きっとあの頃の僕の尿は、ハチ蜜に負けない味がしていたんだろう
と思うのです。
なんでも口にした幼いとき。茶色の絵の具と同じチューブに入ったソフトチョコレート。
茶色の絵の具を口にして、しびれた舌をだし、悶絶したのが昨日のことのようだ。
那智黒飴に似た黒い石を口に入れたり、野の花や草の茎(ゴンパチと熊野地方では言う、
イタドリ)などは、いつも口に入れては幸せをかみしめていたような気がする。
つまり、目で見て、鼻で嗅いで、さわって、食べてみて
「あほなひろしが、なんかまた食べとる!」と言う声を聞きながら、鼻で笑い、五感で
感じる体験学習を日々していた気がするのです。
そんな日々を振り返るとき、いつもいつも何気なく咲く花々に見守られていたような
気がするのです。

春は、はじまりの季節。たくさんの想いを抱いて、踏みだす春。
通学・通勤列車が走っていく。踏切に、風をのこして走っていく。たくさんの不安や
くるしさや喜びをのせて新しいスタートラインを走っていく。通り過ぎた列車の風に
巻き起こされた桜の花がやさしく鮮やかに「がんばってね!」って見送ってくれている。
はじまりは、いつも花・・。毎年くりかえしながら、そっと空を見上げて、応援して
くれている、そんな花が、今、咲いている。はじまりのはじまり・・・
そんなつぶやきです。

           万謝 三重県生涯学習センター 所長 長島りょうがん(洋)

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