三重県総合文化センター ブログ

取材ボランティアレポート「ユネスコ無形文化遺産―世界が認めた和食文化―」

講師写真
講師:静岡文化芸術大学学長 熊倉功夫さん

平成28年2月21日に、三重のまなび2015まなびぃすとセミナーにおいて、「ユネスコ無形文化遺産―世界が認めた和食文化―」について静岡文化芸術大学学長 熊倉功夫先生から貴重なお話をうかがいました。先生は和食の世界遺産登録に関して当初から関わってこられました。

最初は、日本料理を広めたい、日本の料理人の地位の低さをなんとかしたいということで世界遺産申請への検討が始まったのだそうです。しかし、同じ頃、韓国も自国の宮廷料理を世界遺産にしたいと申請をしていたのですが、許可が下りませんでした。宮廷料理を提供する一部の人たちの儲けにつながるということが不許可の理由だったようです。そこで、日本においても検討をし直し、日本料理をとりやめて、庶民の中に伝わっている食文化としての和食という事で申請をし、2013年12月に世界文化遺産として登録がかなったのです。

講座風景

日頃、私も食に関心があり勉強する機会も多いのですが、日本人の伝統的な食文化が遺産として登録されたと聞いたとき、具体的にどういうものを指すのかと疑問を持ちました。日本人の伝統的な食文化と言われても、漠として捉え難い気がしたのです。案の定、登録後、先生方は「和食とは何か」という多くの取材合戦にさらされました。登録前からも、「和食とは何か」「年中行事としきたり」「もてなしとマナー」「和食と健康」というテーマで先生はたくさんの本を刊行されてきましたが、「和食」とは、食だけではない、食にまつわる様々な文化や精神まで、全てを包括したものだったのです。

今、世界では空前の日本食ブームといいながら、当の日本では和食が危機的な状況に陥っています。特に若い人たちの間においては深刻です。「味噌汁は絶滅危惧種だ」と言われた先生の言葉は笑いを誘いましたが、確かに日本の食が様変わりしてきていることを象徴するものだと思います。この日本の食の危機的状況の中で認められた和食文化。日本の明るい未来を築くためにも、今こそ私たちは、世界に誇るべき和食文化をもう一度見直し、自身の食のあり方を本格的に立て直していくべき時に来ているのではないでしょうか。今回、食についてさらに深く考えてみるキッカケを与えてくださったことに感謝致します。

(興味津津子書く)

レポートした講座情報

「ユネスコ無形文化遺産―世界が認めた和食文化―」

日時 2016年2月21日(日曜日)13時30分から15時まで
会場 三重県文化会館 レセプションルーム
講師 静岡文化芸術大学学長 熊倉功夫 さん

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